2007年10月28日

瞬間風速が1割遅くなる!?

瞬間風速が、これまでより10%程度小さい値となりそうです。

気象庁が、2007年(平成19年)12月4日から瞬間風速の観測値を変更することに伴うものです。現在は、風速計が0.25秒間隔で測定した値をそのまま用いていますが、3秒間に測定された12の値の平均に変更されます。WMO(World Meteorological Organization:世界気象機関)などが、最大瞬間風速を0.25秒ごとに更新される3秒平均の最大値とするよう推奨していることに対応するためです。

瞬間風速20m/s程度の場合、新しい観測値はこれまでよりおよそ10%小さい値になるということです。 また、平成19年度中にアメダス観測所での瞬間風速観測を開始する予定となっています。

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緊急地震速報、日頃の備えと心がけが大切

適切な避難行動の知識の有無が、緊急地震速報の有効性を左右することが分かりました。

静岡大学の村越真教授と小山真人教授などが行った研究で明らかになったもので、2007年(平成19年)10月25日の日本地震学会2007年秋季大会で発表されました。

机やダンボールでできた棚などを置いた起震車に一人ずつ被験者を入れ、震度7相当の揺れを起こして行動を5段階評価しました。適切な避難知識がある被験者に、9秒前に緊急地震速報を流した場合、死亡と判定されるDまたはEの評価だったのは22人中12人(54.5%)だったのに対して、避難知識のない被験者2名は、速報について説明した上で同様に流してもDまたはEの評価でした。

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2007年10月27日

寄贈救急車の輸送費支援に協力を

新城市国際交流協会では、エチオピアに寄贈される救急車の輸送費用をまかなうための寄付を受け付けています。

2008年(平成20年)2月に船積みされる予定で、輸送費用は約20万円。市立新城中学校の文化祭と愛知新城大谷大学の学園祭で寄付を呼びかけるほか、協会で募金を受け付けています。

救急車は新城市消防本部で使用されていたもので、平成7年式、走行距離は約20万km。救急資器材一式つきで寄贈されます。

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通報時トリアージ、賛成が9割

119番通報時の緊急度・重症度識別(トリアージ)について、賛成または条件付賛成とした人は87.2%に達することがわかりました。

横浜市安全管理局が、横浜市救急条例(仮称)に対して行った意見募集の結果をとりまとめたものです。119番通報時にトリアージを行い、症状に応じた救急隊を出場させる制度については、257件の意見のうち賛成が130件(50.6%)、条件付賛成が94件(36.6%)で、合計すると9割近くに達しました。

また、「水虫がかゆい」「病院が混んでいるので他の病院へ」などの非常識な通報を断ることについても、100件の意見中、賛成と条件付賛成が合わせて93件(93%)となったほか、横浜市と事業者、市民に救命率向上のための責務を定めることについても、205件中186件(90.1%)が支持する意見でした。

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2007年10月24日

大阪市消防局、改革マニフェストは順調に進捗

大阪市消防局の森口清太郎局長は、2006年(平成18年)2月に策定された「消防局長改革マニフェスト」が順調に進捗しているとの見解を示しました。

マニフェストに示された86項目のうち、2007年(平成19年)9月末現在で20項目が完了しているほか、「着手済」となっている68項目についても、大半は取り組みとしては完了しており、今後も継続して実施していくものであるとし、全体としては順調に進捗しているとの判断を示しました。また、職場改善運動などの職員の自立的な改革への取り組みや、ホームページを活用した情報公開も積極的に進めているとしています。

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水1000トンの海上輸送に成功

約1000トンの水が入ったバッグを、タグボートで曳航して輸送する試験が成功しました。

水資源機構(さいたま市)と日本郵船子会社のMTI(東京都千代田区)が行ったもので、2007年(平成19年)10月22日に新宮港(和歌山県新宮市)を出港、翌23日に富岡港(徳島県阿南市)に到着しました。

到着後に行われた簡易検査の結果、電気伝導度が若干上昇していたものの水道水と同程度で、他には問題点はありませんでした。水の一部は阿南市内の企業2社に工業用水として供給されたほか、詳細な水質検査が行われる予定です。

3月に行った最初の試験では、バッグが損傷して海水が混入したことから、保護材や空気抜き管を追加するなどの改良を加えました。

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荒川氾濫で160万人が被害

荒川が、およそ200年に1度の確率で起こる洪水で氾濫した場合、最大で約160万人が被害を受けるとした浸水想定が公表されました。

中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会」がとりまとめたものです。荒川の河川整備の目標流量となっている、約200年に1度の確率で発生する洪水流量を想定して、堤防決壊箇所が異なる25ケースの浸水想定を策定。類似する氾濫形態をまとめた5つの類型ごとに被害が大きくなる代表ケースを選定しました。代表ケースのひとつ、川口市内の荒川左岸が決壊した場合では、浸水域の人口は約160万人、床上・床下浸水は約63万世帯となっています。

また、気候変動による大雨の増加などを見込んで、約500年に1度(目標流量の1割増)と約1000年に1度(目標流量の3割増)に相当する洪水流量での浸水想定も作成しました。川口市内の荒川左岸が決壊した場合、浸水域は江戸川区まで広がり、域内の人口は約220万人、葛飾区役所周辺では、2階の床が浸水する3m程度の深さまで浸水すると見込まれています。

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週間情報 No.1939

全国消防長会と全国消防協会が発行している「週間情報」No.1939です。

両会の動き

  • 役員会の開催……全国消防長会
    1. 消防財源の確保について
    2. 「救急需要対策における適正利用啓発ポスター」の作成について
    3. 平成19年度収支予算補正(案)について
    4. 第31回全国消防職員意見発表実施要領について
    5. 次期役員会の開催地について
  • 理事会・評議員会の開催……全国消防協会
    1. 評議員の推せんについて(評議員会報告事項)
    2. 平成19年度収支予算一次補正(案)について
    3. 平成20年度事業計画及び収支予算概算について
    4. 次期理事会の開催(理事会議案)及び次期評議員会の開催(評議員会議案)について

消防本部の動き

  • 「川西市及び猪名川町消防指令センター」オープン!……川西市消防本部・猪名川町消防本部(兵庫県)
  • ホームページの新設……指宿地区消防組合消防本部(鹿児島県)

国等の動き

  • 特定屋外貯蔵タンクの浮き屋根の構造等に係る運用指針について……消防庁
  • 令8区画及び共住区画を貫通する配管等に関する運用について……消防庁
  • 自治体消防制度60周年記念 全国消防イメージキャラクターの作成……消防庁
  • 「危険物安全週間推進標語」の募集……消防庁
  • 第1回階段駆け上がりレース ~2007 福岡大会~……日本警察消防スポーツ連盟福岡支部

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2007年10月23日

モリタ、はしご車の制振制御装置を開発

制振制御装置を搭載したはしご車のはしご 

モリタ(大阪市)は、はしご付消防自動車のはしごの揺れを抑制する「制振制御装置」を開発しました。

はしごに生じた揺れを検出して、瞬時に揺れを抑制する制御を行うことで、振動の減衰時間を従来の約1/3に抑えるものです。揺れが大きくなりやすい、はしご動作の高速化を図ることができ、安全ですばやい救助活動が実現可能となります。

モリタでは、2007年(平成19年)10月24日から30日まで幕張メッセ(千葉市)で開催される「第40回東京モーターショー2007」で、この装置を搭載したはしご車の実演展示を行う予定です。

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地震時の社員帰宅計画、企業の4割が未策定

地震対策としての社員の帰宅計画を策定していない企業が4割に上ることが分かりました。

日本経済団体連合会(日本経団連)の「防災に関する委員会」が、委員会に参加している315の企業・団体を対象に調査を行い、190の企業と15の団体から得た回答を取りまとめたものです。

社員の帰宅計画の内容を尋ねる設問(設問はいずれも複数回答)では、34.2%の企業が判断基準や手順などを定めている一方、帰宅計画がないと回答した企業は38.9%に上っています。また、政府の中央防災会議が、首都直下型地震時には社員をしばらく事業所内にとどめる方針であることを示した上で、首都直下型地震の際の対応を尋ねた設問では、32.6%が社員をしばらくとどめる方針で、緊急要員以外を速やかに帰宅させるとしたのは27.9%でした。

地震発生時の対応マニュアルを作成していない企業や、建物や設備、什器等の耐震対策を行っていない企業はそれぞれ11.1%、緊急物資を備蓄していない企業も14.2%ありました。

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企業広告でAED導入の費用負担をゼロに

30~40万円程度するAED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器)の導入費用をまかなうため、収納ボックスに広告を掲載するアイデアが登場しました。

飯田電子工業(東京都板橋区)が製品化したAEDボックス「街かど救急隊」で、板橋区の区立企業活性化センターと区立中央図書館に導入されています。

ボックスの下側に企業名を掲載し、その企業が導入費用を負担することで、設置する施設側の費用負担をなくしました。企業側にも社会貢献活動としてイメージ向上のメリットがあるとしています。

また、ボックスの上部には4ヶ国語でAEDの操作ガイダンスなどのメッセージを表示できるほか、ボックス内には応急手当用品や消火器も収納されています。

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エピペン、救急救命士による使用解禁へ

エピペン®注射液 

舛添要一厚生労働大臣が、アナフィラキシーの治療補助薬「エピペン」を救急救命士が使用できるようにする方向で検討を進めていることを明らかにしました。

2007年(平成19年)10月16日の参議院予算委員会で浜四津敏子議員(公明党)の質問に答えたものです。

浜四津議員は、エピペンは患者本人や家族による使用が認められているものの、アナフィラキシー症状の影響で自分で注射できない場合があるにもかかわらず、救急車を呼んでも、救急救命士に使用が認められていない現状を指摘した上で、素人でも扱えるものなので救急救命士の使用を認めるべきだとしました。これに対して舛添厚生労働大臣は、総務省、消防庁ともすでに協議を始めているとし、早急に救急救命士の業務の範囲に含める方針を示しました。

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2007年10月22日

消防庁、全国消防イメージキャラクターの愛称募集

全国消防イメージキャラクター

総務省消防庁は、「全国消防イメージキャラクター」を制定し、愛称を募集しています。

1948年(昭和23年)の消防組織法施行が施行されてスタートした現行の自治体消防制度が、2008年(平成20年)で60周年を迎えることを記念したものです。漫画家の松本零士氏を委員長とする選考委員会でデザインが決まりました。キャラクターは自治体消防60周年記念事業のほか、消防庁や消防本部、消防団や消防関係団体が行う行事などでも使われる予定です。

募集期間は2007年(平成19年)10月22日から11月30日まで(必着)、はがきか消防庁ホームページ、専用携帯電話サイトから。

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2007年10月18日

西友平塚店エスカレータ事故は国土交通省の責任

2007年(平成19年)10月16日に神奈川県平塚市の西友平塚店で発生したエスカレーター事故について、保護板の寸法が旧建設省の告示で定められた基準を満たしていなかったと報道されています。

報道では、保護板全体の下端が手すりの上端から20cm以上下になるよう定められているにもかかわらず、端の円筒形の部分以外は2cm程度しかなかったとされています。

ですが、平成12年建設省告示第1417号「通常の使用状態において人又は物が挟まれ、又は障害物に衝突することがないようにしたエスカレーターの構造及びエスカレーターのこう配に応じた踏段の定格速度を定める件」には以下のように書かれているのです(引用した告示中の漢数字は算用数字に改めています)

  • ロ 端は厚さ6ミリメートル以上の角がないものとし、エスカレーターの手すりの上端部から鉛直に20センチメートル以下の高さまで届く長さの構造とすること。

どうでしょうか。端は厚さ6mm以上の角がないものとし、(端は)エスカレーターの手すりの上端部から鉛直に20cm以下の高さまで届く長さの構造とするよう定めていると読めるのではないでしょうか。

今度は前後も含めて引用してみます。

  • 三 エスカレーターの手すりの上端部の外側とこれに近接して交差する建築物の天井、はりその他これに類する部分又は他のエスカレーターの下面(以下「交差部」という。)の水平距離が50センチメートル以下の部分にあっては、保護板を次のように設けること。
    • イ 交差部の下面に設けること。
    • ロ 端は厚さ6ミリメートル以上の角がないものとし、エスカレーターの手すりの上端部から鉛直に20センチメートル以下の高さまで届く長さの構造とすること。
    • ハ 交差部のエスカレーターに面した側と段差が生じないこと。

各号の細分の主語は保護板であり、以下のように解釈することがわかります。

  • (保護板は)交差部の下面に設けること。
  • (保護板の)端は厚さ6ミリメートル以上の角がないものとし、(保護板は)エスカレーターの手すりの上端部から鉛直に20センチメートル以下の高さまで届く長さの構造とすること。
  • (保護板は)交差部のエスカレーターに面した側と段差が生じないこと。

一部分を抜き出すと分かりにくいけれど、全体としては正しい内容になっています。

それでいいのでしょうか。法令や告示の解釈を誤り、重大な事故を起こした事業者は責められてしかるべきでしょう。ですが、法令や告示が守られ、適正に運用されるためには、誤った解釈をされる可能性も最小限にしなければならないはずです。

もちろん、法令や告示は、法令や告示として正しいことが第一に求められます。文語体で書かれた法令などを文語体のまま改正するような例は、わかりやすさより正しさが重要であることを踏まえれば必要なことでしょう。

ですが、今回の建設省告示はそうではない。保護板の端の寸法・形状の規定と、保護板の高さの規定を分けて記述すればよいのです。

  • イ 交差部の下面に設けること。
  • ロ 端は厚さ6ミリメートル以上の角がないものとすること。
  • ハ エスカレーターの手すりの上端部から鉛直に20センチメートル以下の高さまで届く長さの構造とすること。
  • ニ 交差部のエスカレーターに面した側と段差が生じないこと。

なぜこうしなかったのか、私には理解できません。単に正しければいいのではない。それが正しく伝わらなければいけないのだと私は思います。

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余談

建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)の第3条あたりも正気の沙汰とは思えないですね。「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」「できる」「団体を構成し」にはかからないなんて、分かっていても理解できません。