2012年7月31日

エスカレーター・天井落下対策技術基準案の意見募集

国土交通省は、地震によるエスカレーターの落下や吊り天井の脱落を防ぐための技術基準原案をとりまとめて公表し、意見を募集しています。

東日本大震災ではエスカレーターが落下したり吊り天井が脱落する被害が多く発生したことを受けて検討を進めていたものです。エスカレーターの落下防止対策としては、地震による層間変位(上階と下階の間のずれ)に対して十分な「かかり代」を設けたりワイヤーロープで脱落時のバックアップ措置を講じるなどを基準化し、吊り天井については床からの高さが6メートル以上で面積が200平方メートル以上を基準の対象として、標準的な「仕様ルート」と高度な構造計算などを行って耐震性を検証する「計算ルート」、「特殊検証ルート」を設定する内容となっています。

意見は2012年(平成24年)9月15日まで受け付けます。

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三菱ふそうのトレーラーにブレーキから発火のおそれ

三菱ふそうトラック・バスは、トレーラーのけん引車(トラクター)に発火などのおそれがあるとして、国土交通省にリコールを届け出ました。

対象となるのは2010年(平成22年)3月から2012年(平成24年)6月にかけて製造された「ふそうスーパーグレード」6型式1,653台で、ブレーキペダルの下に取り付けられているブレーキバルブの製造工程に問題があり、バルブの戻りが悪くなるためにブレーキがかかったままの状態となって、最悪の場合火災にいたるおそれがあるとのことです。

三菱ふそうトラック・バスでは、対象となる車両のブレーキバルブを点検し、異常があるものを良品のバルブと交換するとしています。

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危機管理協会ホームページ改ざん、不正サイトへ誘導

危機管理協会(東京都千代田区)は、協会のホームページが改ざんされて悪意のあるサイトへ誘導される状態になっていたと発表しました。

発表によると、改ざんされていたのは2012年(平成24年)7月28日午後10時2分から翌29日午後2時46分までの間で、誘導先のサイトでコンピュータウイルスに感染させられる恐れもあったとのことです。改ざんで加えられたスクリプト(プログラム)はアンチウイルスソフトウェアで検出、駆除が可能なもので、適切なウイルス対策がされていれば被害を受けなかったと考えられるとしています。

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2012年7月30日

航空機用エアバッグに硝酸塩火薬使用可能に 告示改正案

原子力安全・保安院は、硝酸塩を主とする火薬をガス発生剤として使用する航空機用エアバッグを火薬類取締法の適用を受けない火工品に追加する告示の改正案を公表して意見を募集しています。

ガス発生剤として硝酸塩を主とする火薬を使うエアバッグは、自動車用のものが同法の適用を受けない火工品となっていますが、航空機用エアバッグにも硝酸塩を主とする火薬を使用する新しい設計の製品が開発され、経済産業省の火工品検討小委員会が安全性などに問題がないと評価したことを受けて告示を改正することになりました。

意見は2012年(平成24年)8月26日午後5時(郵送の場合は同日必着)まで受け付けます。改正告示の施行は2012年9月上旬を予定しています。

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お遍路さんに道案内や休憩場所提供 松山市の救急出張所

愛媛県松山市の南消防署久谷救急出張所では、四国八十八ヶ所霊場を徒歩で巡るお遍路さんに道案内やトイレ休憩、熱中症予防のための水分補給などのサービスを提供する「お遍路さん安全カバー事業」を行っています。

久谷救急出張所は、四国八十八ケ所のうち46番浄瑠璃寺と47番八坂寺、48番西林寺から近く、歩き遍路の往来もあることから始めました。出張所前には、遍路姿の松山市消防局マスコットキャラクターが描かれた看板を設置し、気軽に利用するよう呼びかけています。

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2012年7月28日

敬老の日に住警器を 「住宅防火・防災キャンペーン」

総務省消防庁は、敬老の日に住宅用火災警報器(住警器)や防炎品などを贈るよう呼びかける「住宅防火・防災キャンペーン」を実施します。

2012年(平成24年)7月23日付けで都道府県などに通知を発出しました。総務省消防庁では2012年度の消防庁広報テーマとして住宅防火対策の推進を掲げていて、高齢者の割合が高い住宅火災による死者の低減を図るため9月にキャンペーンを展開し、敬老の日に住警器や防炎品を高齢者に贈ることなどを広く呼びかけます。

また、内閣府、全国社会福祉協議会などが主唱する「老人の日・老人週間キャンペーン」(9月15日から21日)とタイアップして、高齢者自身が住宅防火対策に取り組むよう啓発活動を行う予定としています。

通知では、キャンペーンの実施に伴って報道機関や地域住民からの問い合わせが予想されるとして、住警器や防炎品などに関する情報を積極的に提供するよう求めています。

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2012年7月27日

災害情報配信に自治体初の地域WiMAX免許 色麻町

総務省東北総合通信局は、色麻町(宮城県)に対して2012年(平成24年)7月26日付けで地域WiMAXの免許を付与したと発表しました。

地方公共団体が地域WiMAXの免許を受けるのは全国初です。色麻町では、災害情報を一元的に管理・集約して配信する「災害情報配信システム」の整備を進めていて、地域WiMAXを緊急情報や平常時の行政情報配信に活用するほか、防災情報や安否確認掲示板を掲載するホームページへのアクセス、町職員がスマートフォンで撮影した被災情報の送信にも利用します。

地域WiMAXは、光ファイバーなどの高速なインターネット接続が提供されていない地域のデジタル・ディバイド解消などを目的に導入された広帯域移動無線アクセスシステムで、ケーブルテレビ(CATV)事業者を中心に全国40社がサービスを提供しています。

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2012年7月26日

仙台市、国連「災害に強い都市の構築」キャンペーン参加

仙台市は、国連国際防災戦略(UNISDR)の防災キャンペーン「Making Cities Resilient(災害に強い都市の構築)」に参加することを決めました。

2012年(平成24年)7月3日に行われた、マルガレータ・ワルストロム国連事務総長特別代表(防災担当)との会談で伊藤敬幹副市長が表明しました。会談の中で伊藤副市長は、仙台市は東北地方最大の都市であり、東日本大震災からの復興で主導的な役割を担う必要があると語り、震災から復興し「新次元の防災・環境都市」を目指すとしました。

キャンペーンは2010年に始まり、これまでに1,200を超える都市が参加しているほか、積極的な取組を行っている33の都市がロール・モデル(模範都市)として認定を受けています。

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東日本大震災被災地で希少植物減少・消失 岩手県調査

岩手県環境保健研究センターは、岩手県沿岸に分布する海浜性植物が東日本大震災による津波で大きな被害を受け、希少植物の減少や消失が確認されたとする調査結果を取りまとめました。

調査は2011年(平成23年)7月から8月にかけて行われ、岩手県沿岸の36地点で、県内の希少生物をまとめた「いわてレッドデータブック」に掲載されている種を中心に残存状況や生育環境の変化などを震災前と比較しました。震災前に確認されていた希少植物が消失していたのは19地点(全調査地点の52.8%)に上り、調査の対象とした25種の希少植物のうち12種はすべての調査地点で確認できませんでした。個体数が大きく減少している種も多いほか、調査後にさらに個体が減少しているところもありました。

減少や消失の原因については、津波により砂浜や礫浜が流失したことのほか、森林がなくなったり復旧工事が行われるなど周辺の環境が大きく変化したことが影響していると考えられるとしました。

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2012年7月25日

首都圏内陸部への基幹的防災拠点整備を要望 九都県市

埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の4県と横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の首長でつくる九都県市首脳会議は、2012年(平成24年)7月25日、首都圏内陸部に基幹的防災拠点を整備することなどを国に対して要望しました。

要望書では、整備箇所の候補地として高速道路のジャンクションなど交通の結節点となる地域で広大な敷地を確保できる場所が望ましいとした上で、中央自動車道と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)を結ぶ八王子ジャンクション周辺のアメリカ陸軍相模総合補給廠(相模原市中央区)や東名高速道路横浜町田インターチェンジに近いアメリカ海軍上瀬谷通信施設(横浜市瀬谷区、旭区)の利用を検討するよう提案しました。

また、要望とは別に大規模広域災害時の国と地方の役割分担について提案を行ったほか、26日から地震防災対策の充実強化と国民保護の推進について提案を実施する予定となっています。

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安否確認サービス能力増強 NTTコミュニケーションズ

NTTコミュニケーションズは、従業員の安否確認や関係者への一斉連絡などの機能を提供する「安否確認/一斉通報サービス」のシステム基盤を強化し、全国規模の大きな災害でも安定して利用できるようにすると発表しました。

東日本大震災では安否確認などによるデータの処理量が増大し、システムに想定を超える負荷がかかったことから、ネットワーク帯域やメール送信、安否確認登録の処理能力をこれまでの10倍に増強します。また、クラウドサービス基盤「BizホスティングEnterprise Cloud」を活用することで、大規模災害時には同社が社内システムで使用している部分を安否確認/一斉通報サービスに転用できるようになり、短時間に処理量が増加するバーストトラフィックへの対応も可能になるとのことです。

新規利用者への提供は2012年(平成24年)7月24日から開始し、すでに利用中の顧客へは2012年9月から順次移行するとしています。

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2012年7月24日

古い扇風機の発火や花火、スプレー缶の扱いに注意を

消費者庁では、夏に利用することの多い扇風機からの発火や花火、スプレー缶の扱いなどに注意を呼び掛けています。

長期間使用している扇風機では、内部の部品が劣化して発煙、発火しやすくなっているおそれがあるとして、使用前や使用中に異常がないか確認することや、異常がある場合は電源プラグを抜いてメーカーや販売店などに連絡することを求めています。

花火をするときの注意事項としては、必ずバケツなどで消火用の水を用意し、着火にはろうそくや多目的ライター(点火棒)など、不必要に手を近づけなくてよいものを使用することや、子供だけでは遊ばせない、途中で火が消えてものぞき込まないなどを挙げています。

冷却スプレーや殺虫剤といったスプレー缶も夏場に使用する機会が増えるとして、自動車内や直射日光のあたる場所、燃焼器具の近くなど温度の高くなる場所に置かない、火気の近くでは使用しないなどに気を付ける必要があるほか、消火器やエアゾール式簡易消火具への注意も喚起しています。

そのほか、冷感タオルや熱冷まし用のジェル状冷却シート、日焼け止め、日焼けマシンなどについても気を付けるよう呼び掛けています。

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『週間情報』平成24年7月24日 No.2427

両会の動き

総務関係実務研修会の開催 全国消防長会/全国消防長会九州支部

宮崎県日向市で、総務・経理部門の担当職員向けに消防財政と消防職員の勤務制度や処遇に関する問題についての講義を行いました。

消防本部の動き

『さきがけ防火塾』の開講 ~「みて」「さわって」「体験する」実践型防火教室~ 金沢市消防局(石川県)

子供を対象とした、模擬住宅ブースを使った火災遭遇体験などによる実践的な防火教室を2012年(平成24年)6月1日から開講しました。

「第33回原子力発電所等所在市町村消防情報連絡会総会」を唐津市で開催 原子力発電所等所在市町村消防情報連絡会/若狭消防組合消防本部(福井県)

管内に原子力発電所などがある15消防本部で作る「原子力発電所等所在市町村消防情報連絡会」の総会が開催されました。

津波対策訓練を実施! 逗子市消防本部(神奈川県)

逗子市内全域で、南海トラフで発生した地震による津波を想定した訓練を実施しました。

頑張ってます 東北

職員消防操法指導会を18年ぶりに開催 盛岡地区広域消防組合消防本部(岩手県)

全国消防操法大会に出場する消防団への指導技術向上を図るため、競技会方式の消防操法指導会を開催しました。18年ぶりの開催で、操法指導技術だけでなく、職員の大量退職時期を迎える中で消防人としての心意気の伝承も図られました。

サマーフェスみやこに参加 宮古地区広域行政組合消防本部(岩手県)

2012年7月15日に岩手県宮古市で開催された「サマーフェスみやこ」に参加し、東日本大震災での活動を記録した写真の展示などを行いました。

国等の動き

石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所における異常現象の通報の徹底について 総務省消防庁

大阪府堺市の石油コンビナートにある特定事業所で、異常現象の通報が行われなかった事例があったとして、通報体制の確認などを求める通知を発出しました。

平成24年6月の熱中症による救急搬送の状況 総務省消防庁

2012年6月中の熱中症による救急搬送人員は1,837人で、前年同時期の6,980人を大きく下回りました。

平成24年度「みえの防災大賞」8月7日募集開始

三重県は、平成24年度「みえの防災大賞」を募集すると発表しました。

「みえの防災大賞」は2006年(平成18年)に創設され、今回で7回目です。対象となるのは、三重県内で活動する自主防災組織や事業所、学校、ボランティア団体などで、防災意識や防災力の向上を目指す、自主性のある活動を1年以上継続していることや、他の団体が参考とすることのできる取組であることなどが基準となります。

応募・推薦は2012年(平成24年)8月7日から9月7日まで(当日消印有効。持参は午後4時30分まで)となっています。

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2012年7月23日

ガス機器使用時は「節電」より「換気」を

小型湯沸器使用時に全く換気を行わないという人が4割近くに上り、換気をしない理由として節電や冷暖房の効きが悪くなるなどの回答もあるとしたアンケート調査結果を、東京ガスが取りまとめました。

調査は2012年(平成24年)6月に行われ、566件の回答を得ました。小型湯沸器を使う時に必ず換気をすると答えたのは全体の23.5%で、全く換気をしない(同35.8%)、換気をしないことが多い(同25.9%)を下回っています。換気をしない(しないことがある)理由としては、面倒くさいから(同27.4%)、換気扇をつけることを忘れてしまうから(同21.0%)などが多くなっていますが、電気代を節約したいから(同11.3%)、冷暖房の効きが悪くなるから(同8.1%)、世の中のために節電すべきだと思うから(同3.2%)との回答もありました。

東京ガスでは、屋内に設置されている小型湯沸器やガスコンロ、ガスストーブ、業務用厨房機器などを使用する場合は十分な換気が必要となることや、節電などの目的で換気扇を使用しないと換気が不十分となって一酸化炭素(CO)中毒事故につながる危険があるとして注意を呼びかけているほか、停電時にガス機器を使用する場合は必ず窓を開けて換気を行い、使用は短時間にとどめる、夜間など暗い場合に操作を誤らないよう十分注意することが必要としています。

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東日本大震災被災地の化学物質測定結果公表 環境省

環境省は、東日本大震災で被災した青森県、岩手県、宮城県、福島県の4県の沿岸域で行った化学物質環境実態調査の結果を取りまとめ公表しました。

調査は、2012年(平成24年)1月から4月にかけて行われました。大気と水質、底質(水底の表層部分)、生物(今回の調査では魚類)について、残留性汚染物質(POPs)と、化学物質排出把握管理促進法によるPRTR届出対象物質のうち被災地で取扱量が多いものなどの濃度を調べました。

2008年(平成20年)から2010年(平成22年)にかけて行われた調査との比較では、21地点で31物質を調べた水質環境試料はトリブチルスズ化合物が2地点、エンドリンとペンタクロロベンゼン、トリフェニルスズ化合物が各1地点で以前の調査による濃度範囲を上回っていました。生物環境資料では、29物質を11地点で調べ、アルドリンとトリフェニルスズ化合物が各1地点で過去の調査結果を上回りました。

環境省では、濃度が以前の調査結果を上回った地点の周辺に調査地点を追加するほか、対象物質や調査地点の見直しを行ったうえで2012年度もモニタリング調査を実施するとのことです。

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『検定協会だより』平成24年7月 第379号

巻頭のことば いざというときに頼りにされる専門家集団を目指して

消防大学校消防研究センター所長の松原美之氏。新潟県のトンネル内爆発事故や山口県で起きた化学プラント爆発火災、広島県のホテル火災などに職員を派遣し、「いざというときに役に立つ専門家集団」としての役割を果たせるようになっているとしたうえで、「いざというときに頼りにされる専門家集団」を目指すためにも、消防の共通財産としての消防研を活用する視点からの期待と支援を寄せてほしいとしています。

住警器特集 住宅用火災警報器の設置効果について(その2)

住宅用火災警報器(住警器)を設置した関係者を対象に行ったアンケート調査の結果について。

住警器をどのような形で知ったかについて尋ねた項目では、地元の自治体や消防機関、町内会などによる広報が全体の約45%となっているほか、テレビ・ラジオとの回答がおよそ25%あり、地域の啓発活動やマスメディアが大きく影響しているようです。設置宅の23%で発報の経験があり、そのうち65%は火災によるものとみられます。設置後の試験実施状況を尋ねた項目では、約6割は自分で試験を実施していると答えたものの、方法が分からない、試験は不要と思っているなどの回答も3割を超えています。

協会情報

平成23年度の鑑定・認定・受託試験等を振り返って

2011年度(平成23年度)中に実施した鑑定や認定、受託試験の件数と不適合、不合格の状況についてまとめられています。

平成23年度の検定協会決算概要について

2011年度決算と、業務の実施状況について掲載されています。

おしらせ 第12回レスキューロボットコンテストへの出展について

2012年(平成24年)8月に神戸市で開催される「レスキューロボットコンテスト」に出展し、検定協会の業務や防災機器に関する展示を行います。

随想 消防防災に想う(第40回)

消防法で一定以上の規模の建築物などに義務付けられている防災管理制度について。

2012年7月21日

指定都市市長会、災害対応法制の見直しを要請

指定都市市長会は、2012年(平成24年)7月18日、民主党に対して災害救助法や災害対策基本法の見直しを求める要請を行いました。

要請では、現行の災害救助法や災害対策基本法が国と都道府県、市町村の役割分担を固定的に定めているため、政令指定都市による主体的な活動や広域支援の妨げになっていると指摘し、政令指定都市の市長を災害救助法に基づく救助の主体と位置づけることや、災害対策基本法で義務付けられている応急措置の実効性を担保するために従事命令を行う権限を付与することを求めています。

また、2008年(平成20年)に発生した中国四川省大地震で実施された、被災地の各県に対応した省が1対1で支援を行う「対口支援」(日本では「カウンターパート方式支援」「ペアリング支援」とも)と同様の仕組みを国の広域支援の枠組として検討する際には、政令指定都市も支援の主体とすることや政令指定都市の意見を反映することを要請しました。

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『Safety & Tomorrow』平成24年7月 第144号

巻頭言 危険物に対する安全・安心について 電気通信大学名誉教授 本間恭二

東京電力福島第一原子力発電所事故を例に挙げ、一度安全への信頼が失われてしまうと安心という主観的に捉えられるものを回復することは困難であると指摘した上で、安全を確保するためのシステムや技術の導入などにより危険物施設の安全・安心を保障するための総点検、管理体制強化が望まれるとしています。

法令解説

危険物の規制に関する政令を一部改正する政令等について 総務省消防庁危険物保安室

2012年(平成24年)5月に公布された、危険物の規制に関する政令などの改正について。

この改正では、リチウムイオン蓄電池を使った蓄電池設備を建築物の一区画や地階などに設置可能とするための技術基準整備や、セルフ方式のガソリンスタンドへの圧縮水素充てん設備併設、2012年12月1日に施行される予防規程の規定事項への津波対策追加が盛り込まれています。

最近の行政の動き

特定防災施設等及び防災資機材等に係る地震対策及び津波対策の推進について 総務省消防庁特殊災害室

2012年3月30日付けで発出された通知について。

通知では、地震と津波への対策について発生の頻度や被害の規模に応じて必要とされる対策の水準を定めているほか、対策の前提となる地震、津波の評価や被災後の応急措置実施時の留意事項についても触れています。

危険物事故関連情報

東日本大震災における仙台製油所の防災活動について

東日本大震災で被災したJX日鉱日石エネルギー仙台製油所の被害状況と対応、教訓について。

震災後、震度5弱以上の地震で自動参集としていた規程を津波警報発表時には自宅待機とするよう改定したほか、津波により非常食・非常資材や消防車両が使用不能となったことから、保管場所の変更や車両を退避させる高台を確保するなどの対策をしました。また、従業員のほとんどが自家用車で通勤しているため、自動車が被災して使えなくなったり道路状況、給油可能なガソリンスタンドが限られるなどの理由で従業員の移動手段確保が課題となりました。

三井化学株式会社岩国大竹工場製造施設火災の概要と対応状況について 総務省消防庁特殊災害室

2012年4月に山口県の石油コンビナートで発生した製造施設の火災と、事故を受けて発出された通知について。

平成23年中の危険物に係る事故の概要 総務省消防庁危険物保安室

2011年(平成23年)中に発生した危険物施設の事故について。

事故原因は腐食等劣化によるものや維持管理不十分、操作確認不十分が多く、事故件数も500件を超える高い水準で推移しています。

論文紹介 ―危険物事故防止対策論文紹介―

【消防庁長官賞】質問表評価を利用した自部署の安全文化醸成に向けた取り組み

「規制当局が事業者の安全文化・組織風土の劣化防止に係る取組を評価するガイドライン」(原子力安全・保安院、2007年)などを参考に作成したアンケートによる安全文化の評価や安全文化醸成への取り組みについて。

【消防庁長官賞】NAS 電池の課題と対策(他県で発生した火災をうけて)

2011年9月に茨城県で発生したナトリウム・硫黄電池(NAS電池)火災を受けて、NAS電池で火災が発生した場合の課題についてまとめたもの。

NAS電池にはナトリウムが使われているために対応可能な消火設備が乾燥砂などに限られることや、発生する有毒ガス(酸化ナトリウムと亜硫酸)への対応や二次災害の危険、危険物施設として定められている予防規程の内容が画一的で設置状況に即していないなどの問題点を指摘しています。

技術情報

縦置円筒型地下貯蔵タンクの安全性評価について

限られた敷地スペースへの対応などのために縦置円筒型地下貯蔵タンクの設置を求める声があるとして、従来の横置円筒型と同等以上の安全性があることを確認するための評価方法について検討しています。また、形状の違いから検査や施工、維持管理についても横置円筒型とは異なる部分があるとのことです。

大規模石油タンクで講じられている地震・津波対策と今後の課題

容量1千リットル以上の「特定屋外タンク貯蔵所」でとられている地震対策と、国土交通省関東地方整備局が2009年(平成21年)に公表した「臨海部の地震被災影響検討委員会報告書」の内容への批判。

(報告書の内容については相当頭にきているようで、「コンビナート港湾における地震・津波対策検討会議」の議事概要でも強い調子で批判している様子がうかがえます)

業務紹介

危険物施設総合研修訓練

消防訓練施設による消火訓練を含む危険物施設総合研修訓練カリキュラム構築検討の一環として試行開催した訓練の概要が掲載されています。

業務報告

平成23年度KHK審査タンクの補修概要

特定屋外貯蔵タンクの保安検査や補修後の完成検査前検査に際して行われる現場審査で収集したタンク補修の概要について。

2011年度に審査を行った特定屋外タンクでは、約96%で底部の補修が行われていたほか、定期保安検査の対象となる1万キロリットル以上の特定屋外タンク291基のうち補修の全くなかったタンクは5基(1.7%)でした。

「入浴死・入浴事故を防ぐナビ」開設 山形庄内保健所

山形県庄内保健所が、入浴死や入浴事故の予防を啓発するためのポータルサイト「入浴死・入浴事故を防ぐナビ」を開設しました。

保健企画課によると、入浴死・入浴事故予防に関するポータルサイトは全国初です。サイトは県ホームページに開設され、入浴事故予防のポイントや事故が起きてしまった時の対応についてまとめたリーフレット、庄内地域で発生した入浴事故の統計や実態調査報告書などが掲載されています。

庄内地域では入浴事故が多く発生し、入浴中に亡くなる人が交通事故死を大きく上回っています。このため、庄内保健所では「庄内41℃(よい)ふろジェクト」を展開するなど入浴事故予防の普及啓発を行っています。

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日立の業務用エアコン室外機に発煙・発火のおそれ

日立アプライアンスは、2005年(平成13年)11月から2008年(平成16年)6月に製造した業務用パッケージエアコンなどの店舗用室外機に発煙や発火のおそれがあるとして無償点検・処置を実施すると発表しました。

対象となるのは、同社と、合併前の日立空調システムが製造した業務用パッケージエアコン119機種とスポットエアコン2機種、チラーユニット3機種です。同社によると、室外機に使われているファンモーターの内部回路が短絡して発煙、発火するおそれがあるとのことです。

日立アプライアンスでは、専用フリーダイヤルで無償点検の受け付けや問い合わせに対応しています。

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2012年7月20日

衛星携帯電話「IsatPhone Pro」サービス開始

JSAT MOBILE Communications(JSATモバイル)は、2012年(平成24年)7月20日に総務省関東総合通信局から特定無線局の包括免許を受け、インマルサットGSPS型「IsatPhone Pro(アイサットフォン・プロ)」の日本国内向けサービスを開始しました。

IsatPhone Proは、インマルサット(イギリス)の静止衛星を利用した衛星携帯電話サービスです。これまで国内で利用可能だったインマルサット衛星電話の端末は20cm四方程度の大きさで、重量も軽いもので約1kgありましたが、IsatPhone Proは一般的な携帯電話と同じハンディ型で300gを切る小型、軽量なものとなっています。また、大容量バッテリーを採用し、イリジウム衛星携帯電話のハンディ型端末を大きく上回る連続通話8時間、連続待受100時間を確保しました。

利用可能なサービスは音声通話とSMS・E-mail(アルファベット160文字・アルファベット以外74文字まで)で、静止軌道上の通信衛星「Inmarsat-4」3機により極地方などを除くほぼ全世界をサービスエリアとしています。

2012/07/27: NTTドコモの報道発表資料へのリンクを追加しました。

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照明器具の事故、発煙・発火にも注意を

製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センターは、2007年(平成19年)から2011年(平成23年)までの5年間に通知を受けた照明器具による事故について取りまとめました。

通知された事故は492件あり、主に製品の設計・製造や表示が原因だったと考えられる191件を除くと、現象別では経年劣化による絶縁不良で破損・発火したものが45件(全体の9.1%)と最も多く、可燃物との接触による発煙・発火(11件、同2.2%)、施工時に断熱材で覆ってしまったために出火(6件、同1.2%)などの事故も起きています。他にも、定格を上回る白熱電球を取り付けてしまったり、対応していない電源周波数の蛍光灯器具を使用するなどの誤使用による異常発熱のほか、蛍光灯器具に取り付けるタイプのLEDランプで、器具の改造が必要なランプを未改造の機器に使用するなど適合しない製品を取り付けたために事故となった事例がありました。

NITEでは、照明器具を使っていて異常がある場合はすぐに使用を中止してメーカーなどに相談することや、取扱説明書を確認して正しく取付・使用することなどを呼びかけています。

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2012年7月19日

地震減災の啓発へ店舗の認定制度開始 神奈川県

神奈川県は、地震による被害の軽減に向けた取組の普及啓発活動を行う店舗などの商業施設を認定する「かながわ減災サポート店制度」を開始します。

制度の対象となるのは、神奈川県内にある店舗や複数の店舗が入る商業施設で、県が実施する講習を受講することが条件となっています。認定を受けたサポート店では、地震や津波の被害を減らすための対策について啓発パネルの展示やリーフレット配布、店内放送を行うほか、施設の創意工夫による普及啓発の実施にも努めることが求められます。

サポート店には認定証とステッカーが交付されるほか、県がデザインしたのぼり旗やバッジを作成するなど、認定を受けていることをアピールできます。県もホームページにサポート店の一覧と普及啓発の実施内容を掲載するなどの形で広報・周知を行います。

申請は2012年(平成24年)7月19日から受け付け、サポート店での普及啓発活動は9月1日から始まります。

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2012年7月18日

石油コンビナート異常現象の通報徹底を 消防庁通知

総務省消防庁は、石油コンビナートで火災や石油漏えいなどの「異常現象」が発生した場合は直ちに通報するよう求める通知を発出しました。

2011年(平成23年)6月に大阪府堺市の石油コンビナート等特別防災区域内にある特定事業所で起きた溶融硫黄約50トンの漏えいが通報されていなかったことを受けたもので、2012年(平成24年)7月13日付けで出されました。通知では、石油コンビナートのある道府県に対して通報体制の確認などを求めたほか、関係業界団体にも、通報を的確に行うことや防災業務に関する教育の徹底などについて加盟各社に周知するよう要請しました。

石油コンビナート等災害防止法では、特定事業所で異常現象が発生した時は、消防署か市町村の指定する場所に通報することが義務付けられているほか、特定事業所を設置している特定事業者は、異常現象の通報を含めた防災業務の実施状況を毎年報告することが定められています。

トラブルを起こした事業者によると、漏えいした溶融硫黄は温度が100℃以下で固体になるため周辺環境への影響や健康被害の可能性はほとんど考えられないとのことですが、関係機関とも連携して周囲の環境や従業員、近隣住民への影響について確認するとしています。

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『週間情報』平成24年7月17日 No.2426

両会の動き

消防団体保険加入のご案内 全国消防協会

消防職員と家族を対象とした、消防団体保険の新規加入と更新を受け付けています。

消防本部の動き

「東日本大震災における消防活動記録誌」を実費販売 仙台市消防局(宮城県)

2012年(平成24年)3月に刊行し、関係機関などに配布した『東日本大震災における消防活動記録誌』を一般販売します。価格は1,300円(税込・送料別)となっています。

安全運転教育訓練を実施 千葉市消防局(千葉県)

ドライブレコーダーの記録映像を活用した座学教育と、千葉市消防局では初となる一般道路での実践的な走行訓練を行いました。

消防・自衛隊・県警合同による水没地での救出救助訓練実施 松山市消防局(愛媛県)

津波による浸水・水没を想定した合同訓練を実施しました。

ブラインド型火災想定訓練の実施 那覇市消防本部(沖縄県)

解体予定の市営住宅を利用し、事前に場所や想定を明らかにしないブラインド型の火災想定訓練を行いました。

解体予定の校舎を利用した火災防ぎょ訓練の実施 鹿島地方事務組合消防本部(茨城県)

解体が予定されている中学校の校舎で、現場指揮本部の位置づけや多数傷病者発生時の指揮要領に主眼を置いた火災防ぎょ訓練を実施しました。

~いち早い救出活動に向けて災害時要援護者情報をシステム化~ 東大阪市消防局(大阪府)

市福祉部が同意を得て収集している災害時要援護者情報を、高機能消防指令システムで確認できるようにします。従来から利用可能となっていた高齢者の情報と合わせると約2万4千人分の情報を検索することが可能となっています。

電話番号、メールアドレスの変更について
伊予消防等事務組合消防本部(愛媛県)

2012年7月9日付けで電話番号とメールアドレスが変更となっています。

頑張ってます 東北

今号から、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県の消防本部の情報を紹介する「頑張ってます 東北」を掲載するとのことです。

宮城県消防救助技術指導会を開催 宮城県消防長会

2年ぶりの開催となる宮城県消防救助技術指導会が行われました。

津波警報発表時における避難広報等活動要領を策定 仙台市消防局(宮城県)

津波警報や津波注意報が発表された時の避難広報について、安全確保に関する事項や消防団員による広報活動の範囲を指定するなどの内容を盛り込んだ活動要領を策定しました。

地震・津波災害情報収集伝達訓練を実施 いわき市消防本部(福島県)

福島県浜通りで震度6弱を観測する地震が発生したとの想定で、情報収集伝達訓練を実施しました。

国等の動き

「福島原発事故において活動した消防職員の長期的な健康管理審査連絡会」の発足 総務省消防庁

東京電力福島第一原子力発電所事故で3号機への放水活動を行った消防職員の健康管理を適切に行うため、審査連絡会を発足します。

平成25年度 財団法人救急振興財団「救急救命の高度化の推進に関する調査研究事業」事業委託団体及び「救急に関する調査研究助成事業」助成団体の募集について 救急振興財団

メディカルコントロールや救急需要対策など11のテーマを対象とした委託研究事業と、救急業務についての先進的な調査研究に対する助成事業への参加団体を募集しています。締切は2012年12月17日(必着)となっています。

2012年7月17日

消防団120年・自治体消防65周年ロゴ決定

消防団120年・自治体消防65周年ロゴマーク日本消防協会は、2013年(平成25年)を中心として展開する「消防団120年・自治体消防65周年記念事業」のロゴマークを決定しました。

現在の消防団の前身にあたる消防組が制度化されたのは1894年(明治27年)で、2013年は119年目となりますが、消防組織法が施行され現在の自治体消防制度が始まった1948年(昭和23年)から65周年となることから、日本消防協会ではこれに合わせる形で記念事業を実施することにしています。

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YouTubeのニュース動画、再生回数トップは震災関連

アメリカの調査機関ピュー・リサーチ・センターは、2011年(平成23年)1月から2012年(平成24年)3月までの15か月間にYouTubeの「ニュースと政治」カテゴリーで最も多く再生された動画は、東日本大震災関連だったとする分析結果を公表しました。

期間中の各週ごとにニュースと政治(news & politics)カテゴリーで再生回数上位5位に入った動画295本のうち、何らかの理由で削除されたものを除いた260本について調べました。2011年3月11日から18日までの間に再生された動画では20位までを震災関連が占め、合計の再生回数はおよそ9600万回に上りました。全体で最も多く再生されたのも東日本大震災に関連した動画となったほか、2位はロシア大統領選挙、3位が中東情勢となっていて、アメリカ国外のニュースに関する動画の再生が多かったとのことです。

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2012年7月16日

院外心停止患者の脳局所酸素飽和度と予後に相関

2012年(平成24年)7月16日発行の『週刊医学界新聞』に、院外心停止患者の脳の状況を予測するための指標として無侵襲脳局所酸素飽和度(rSO2)を利用する研究についての記事が掲載されています。

心筋梗塞などの疾患による院外心停止患者の救命率を上げる方法として、経皮的心肺補助装置(PCPS)を使って脳への血流を確保してから治療を開始することが行われていますが、費用や実施可能な施設の数など問題から、どの患者に対して実施するかを見極めることが課題になっています。

大阪府済生会千里病院心臓血管センターの伊藤賀敏センター長は、患者の額にセンサーパッドを貼り付けるだけで測定可能なrSO2に注目、2009年(平成21年)4月から2010年(平成22年)6月までの92症例についてrSO2の測定を行い、社会復帰できた13例と転帰不良の79例を比較した結果、rSO2が25%未満では社会復帰できた例がなかったのに対して、25%以上40%未満では約2割、40%以上のrSO2が維持されていた症例では半数の患者が社会復帰していたことがわかりました。

脳蘇生を予測する指標としては、血液中の乳酸値や塩基過剰を測定する方法などが知られていますが、精度や血液検査に時間がかかるなどの問題がありました。rSO2は測定が容易で1分程度あれば結果が分かるほか、他の指標と比べて正確だったとのことです。

また、一般市民による心肺蘇生(CPR)が行われていない場合、来院時のrSO2が低く、高度な処置を行っても社会復帰率が2%にとどまっていたとして、一般市民によるCPRが極めて重要と指摘しています。

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2012年7月14日

自然災害による損害は過去10年の平均以下 ‘12年上半期

ミュンヘン再保険(ドイツ)は、2012年(平成24年)1月から6月までの自然災害による損害額が、最近10年間の平均を大きく下回る約260億ドルにとどまっていたと発表しました。

発表によると、ここ10年の上半期に自然災害で生じた損害額の平均は約756億ドルで、今年上半期は平均の4割と大幅に少なくなりました。損害に占める保険金の支払額は約120億ドル(過去10年平均の63%)、死者数も約3,500人(同7%)と大きく減っています。損害をもたらした自然災害の発生数は450と、最近10年の平均395をやや上回っていますが、2011年(平成23年)に発生した東日本大震災やニュージーランド地震のような大規模な災害は起きていません。

同社のトルステン・イェヴォレック再保険部門CEOは、2012年上半期の損害減少が、長期的には甚大な被害が出る年と比較的被害の少ない年とで相殺されるという予測に沿ったものとする見方を示しました。

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2012年7月13日

小型漁船機関室の火災 扉は開けない・送風機と主機停止

運輸安全委員会事務局仙台事務所は、小型漁船の火災事故で特に多い機関室から出火した場合の対応などについて取りまとめ公表しました。

仙台事務所管内では、2008年(平成20年)10月から2011年(平成23年)12月までの間に11件の船舶火災がありました。総トン数は6隻が5トン未満、4隻が5~10トン未満とほとんどが小型の漁船で、出火場所は9割が機関室となっています。

主機(エンジン)運転中の機関室は、過給機が空気を吸引するために外よりも気圧が低い負圧状態になるため、火災が発生しても煙や臭気が漏れにくく、気付くのが遅れがちになります。また、火災に気付くころには機関室内に未燃焼のガスが充満していて、火元探索のため不用意に機関室の扉を開けて新鮮な空気が流れ込むと、急激にガスが燃え上がるバックドラフトが発生するおそれがあるとのことです。このため、機関室内で火災が起きた場合は機関室の扉は絶対に開けず、酸素と熱源を遮断するために送風機、主機の順で停止し、粉末消火器などを使って消火するときも扉は最小限開くようにして、消火剤投入後はすぐに扉を閉めて密閉状態を保つ必要があるとしています。

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「首浮き輪」使用中の乳幼児が溺れる事故に注意を

乳幼児向けとして販売されている首輪型をした「首浮き輪」を使用中に子供が溺れる事故が発生しています。

首浮き輪は1歳半くらいまでの乳幼児が水に親しむための製品として販売されていますが、使用中に外れるなどして子供が溺れた事例2件が2012年(平成24年)6月発行の日本小児科学会雑誌に掲載されたほか、東京消防庁管内でも2012年中に溺水と窒息事故が1件ずつ起きています。

報告されている事故は取扱説明書に従わない不適切な使用や、入浴中などで短時間目を離している間に起きていることから、東京消防庁や輸入業者では取扱上の注意を守り、子供から決して目を離さないよう呼びかけています。

2012/07/27: 国民生活センターと消費者庁の報道発表、日本小児科学会のInjury Alert(傷害注意速報)へのリンクを追加しました。

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エンジンオイルの劣化による車両火災への注意を呼びかけ

国土交通省は、エンジンオイルの劣化が車両火災の原因になるとして注意を呼び掛けています。

車両火災の多くはエンジンから出火していることに着目した分析の結果、エンジンオイルが劣化して生じた不純物がエンジン内部にたまって潤滑不良となり、エンジンが破損して火災に至る場合があることが分かりました。エンジンオイルは長期間車を使用した場合だけでなく、エンジンの温度があまり上がらない短時間走行の繰り返しでも劣化することから、自家用・事業用の別や車種、車の使用状況に関わらず不具合の発生する可能性があるとして、日常点検でエンジンオイルの量や汚れを確認することを勧めています。また、走行状況に応じてエンジンとモーターを使い分けるハイブリッド車や、アイドリングストップ機能の付いた車でも注意が必要としています。

(報道発表では「エンジンが十分温まらない短時間の使用」という記述がありますが、暖機運転を推奨するとも取れる表現であまりよくないと思います)

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2012年7月12日

東海地方企業のBCP策定率26.5% 政投銀

日本政策投資銀行東海支店は、東海地方に本社を置く企業のBCP(事業継続計画)策定率は26.5%などとするアンケート調査結果を取りまとめました。

2012年(平成24年)4月から5月にかけて、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の4県に本社がある企業575社を対象に行い、44.0%にあたる253社から回答を得ました。

BCP策定率を業種別にみると製造業では31.5%となっている一方、非製造業では中堅企業の策定率が低いために23.6%にとどまっています。BCP策定やバックアップ施設の整備、防災計画などの対策を全く行っていない中堅企業も非製造業で29.1%、製造業が21.5%となっていて、無対策の割合が1割を下回った大企業と比べて防災意識の低さが目立つとしています。

BCP未策定の理由としては「策定に必要なスキル・ノウハウがない」との回答が約4割を占め、人手や経費の不足を挙げる企業を上回っていることから、企業診断などでスキルやノウハウの不足を解消することで策定のハードルが引き下がる可能性が高いとしました。また、中堅企業では「顧客、取引先からの要請がない」とする回答も目立つとして、グループ間やサプライチェーン間でBCP策定の必要性を共有することで普及につながるのではないかと分析しています。

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XバンドMPレーダーネットワーク『XRAIN』に

国土交通省は、XバンドMP(マルチパラメータ)レーダーネットワークの名称を『XRAIN(エックスレイン)』として、周知や利活用を図ることを決めました。

XバンドMPレーダーは従来のCバンドレーダーよりも高い周波数を利用し、水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を同時に送信します。雨粒が大きくなると空気抵抗による変形も大きくなるため、大きな雨粒の割合が多いほど水平偏波の電波を反射しやすくなるほか、雨粒の影響で生じる電波の伝わる速さの遅れも水平偏波で大きくなるため、雨の強さや降っている場所をより高い精度で観測することができます。また、ドップラー効果による周波数の変化から雨粒の移動速度をみることで風の観測も行っています。

国土交通省では、これまでに27基のXバンドMPレーダーを整備、2012年(平成24年)7月12日には、中ノ口局(新潟県燕市)の観測情報の一般配信を始めました。XRAINの雨量数値データを提供する社会実験も行われていて、東日本放送(宮城県仙台市)がテレビ放送で利用しているほか、京阪電鉄では急激な線路冠水などに対応するため流入水量の予測に活用、東京消防庁は強い雨を観測した場合の警報機能や土砂災害危険区域と重ね合わせた地図表示機能などを備えたシステムを構築しました。

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米の備蓄制度協定が発効 ASEANと日中韓が参加

東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国が採択した「東南アジア諸国連合及び協力3箇国における緊急事態のための米の備蓄制度に関する協定」(APTEER協定)が2012年(平成24年)7月12日に発効しました。

APTEER協定では、自然災害などの緊急事態に対応するため、一定数量の米を各国の在庫から申告(イヤマーク)備蓄の形で確保するほか、初期対応のための現物備蓄を行い、緊急備蓄米運営のための基金も設立します。また、備蓄期限を過ぎた現物備蓄は貧困対策事業のために活用されます。

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2012年7月11日

廃消火器リサイクルの中間処理施設を公募

日本消火器工業会では、廃消火器リサイクルシステムで廃消火器の処理再資源化を行う中間処理施設を募集しています。

廃消火器リサイクルシステムは、廃棄物処理法の広域処理制度を活用する形で2010年(平成22年)に始まりました。現在は13の中間処理施設で処理再資源化を行っていますが、消火器の技術上の規格を定める省令が改正されたことなどから廃消火器の回収本数増加が予想されるとして、新たに全国で10施設を公募することになりました。処理される廃消火器は1事業者あたり年間約300~500トン、業務用の10型消火器換算で5~10万本程度を見込んでいます。

応募期間は2012年(平成24年)7月31日午後5時(必着)までとなっています。

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『週間情報』平成24年7月10日 No.2425

消防本部の動き

平成24年度茨城県火災調査研究会を開催 茨城県立消防学校(茨城県)

県内の消防本部から124名が参加し、初めてとなる火災調査研究会を開催しました。東日本大震災被災地での津波火災調査や中核市における火災調査に関する講演、火災調査事例の発表が行われました。

通信指令員の口頭指導による表彰 吹田市消防本部(大阪府)

生後9か月の乳児が浴槽でCPA(心肺機能停止)となった事案で、動揺していた通報者の母親を落ち着かせて口頭指導を行い救命につながったとして、通信指令員に消防長表彰を行いました。吹田市消防本部では指令員が単独で表彰されるのは初めてとなります。

化学機動中隊消防活動技術効果確認を実施 東京消防庁(東京都)

赤坂消防署では、シアン化水素(青酸ガス)の漏えいを想定した化学機動中隊消防活動技術効果確認を実施しました。

「電気自動車研修」の実施 枚方寝屋川消防組合消防本部(大阪府)

自動車メーカーの社員を招き、電気自動車の構造や災害発生時の対応要領などについて講義を受けました。

大震災を想定して消防艇を活用した遠距離大量送水訓練を実施! 横浜市消防局(神奈川県)

西区みなとみらいの耐震バースで、消防艇から海水を送水する遠距離大量送水訓練を実施しました。

メールアドレスの変更について
江津邑智消防組合消防本部(島根県)

2012年(平成24年)7月3日付けメールアドレスが変更となっています。

国等の動き

消防職員の厳正な服務規律の確保等の徹底について 総務省消防庁

救急出場した現場で救急隊員が傷病者の財布から現金を盗んだとして逮捕された事案を受けて、厳正な服務規律の確保や綱紀粛正、倫理保持の徹底を求める通知が発出されました。

「平成24年度住宅防火防災推進シンポジウム」(消防庁)の開催について 総務省消防庁

2012年9月から2013年(平成25年)3月にかけて、全国6か所で「住宅防火防災推進シンポジウム」を開催します。

「聴覚障がい者対応型住宅用火災警報器普及支援事業」に係る支援対象者への周知及び申請支援の強化について 総務省消防庁

聴覚障害者対応型住警器の普及支援事業について、対象者への周知と申請支援を強化するよう求める通知が発出されました。

平成24年安全功労者内閣総理大臣表彰(消防関係) 総務省消防庁

安全功労者内閣総理大臣表彰の受賞者が発表されました。消防関係では個人5名と2団体が受賞しました。

災害時要援護者の避難支援対策の調査結果 総務省消防庁

2012年4月1日現在、調査対象となった自治体の83.5%が災害時要援護者の避難支援に関する全体計画を策定済みで、災害時要援護者名簿が作成されているのは約6割となっています。個々の要援護者への対応を定めた個別計画の策定が済んでいるのは3割弱にとどまっていますが、作成途中を含めると87.7%となります。

「石油コンビナート等における災害時の影響評価等に係る調査研究会」の発足 総務省消防庁

東日本大震災による被災状況などを踏まえ、防災アセスメント指針の見直しや特定防災施設、防災資機材の影響評価などについて検討を行うため調査研究会を発足します。

「石油コンビナート等防災体制検討会」の発足 総務省消防庁

2011年に開催された「東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討会」で今後対応策を検討するとされた事項や、昨今の石油コンビナートでの災害などを踏まえ、事業者の自衛防災体制や周辺住民などへの情報伝達、避難誘導などについて検討するための検討会を開催します。

平成24年安全功労者・消防功労者総務大臣表彰 総務省消防庁

消防職団員以外の個人・団体を対象とした安全功労者総務大臣表彰は個人15名と11団体、消防団員・婦人(女性)防火クラブ員を対象とした消防功労者総務大臣表彰は消防団員7名、婦人(女性)防火クラブ員5名の受賞が決まりました。

平成23年(1月~12月)における火災の状況(確定値) 総務省消防庁

2011年中に発生した火災は5万6件で、およそ11分に1件の火災が発生した計算になります。火災で亡くなった人は1766人で、住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)の7割近くが65歳以上の高齢者でした。出火原因は放火が11.3%で最も多く、以下たばこ(9.5%)、こんろ(8.4%)、放火の疑い(7.9%)、たき火(6.9%)となっています。

東日本大震災による火災は330件発生し、損害額は約150億円に上ります。

2012年7月10日

津波被害の体験や伝承、文献を募集 愛媛県

愛媛県は、津波痕跡調査の一環として過去の津波に関する伝承や文献、昭和南海地震での津波体験などの情報を募集しています。

調査では、沿岸地域の既往文献や地質史料のほか、地層試料の観察による津波堆積物の調査が主な内容ですが、より多くの情報を収集しるために情報を募集することになりました。

募集期間は2012年(平成24年)9月末までで、県危機管理課防災企画係で連絡を受け付けています。

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『災害復興研究』 第4号

《評論》なぜ、被災者の思いが実現できないのか? 室﨑益輝

東日本大震災の発生から1年が経過しても、被災地と政府を隔てるとてつもない距離感のために被災者の声が届かず、復興予算と称して被災地や被災者とは直接関係のない「大震災関係経費」に財源が大きく振り向けられるなどのためにコミュニティの崩壊や対立が起きていると指摘。人的支援の不足から復興計画や事業の推進も困難になっているとして、財源と人材を投入する必要があるとしています。

《評論》「棄民」つくらない総合的支援対策を構築せよ ─戻る人・戻らない人、双方の人権尊重を考える 山中茂樹

福島第一原子力発電所事故により避難した被災者への支援や、避難した人たちが故郷へ戻りやすくするため「セカンドタウン」を活用した三段階帰還について。

《報告》東日本大震災における県外避難者への支援 ─受入れ自治体調査結果から 田並尚恵

県外避難者の受入、支援や総務省による「全国避難者情報システム」の活用状況、今後の災害における課題などについて。

《論文》津波碑は生き続けているか ─宮城県津波碑調査報告 北原糸子・卯花政孝・大邑潤三

過去の津波で建てられた宮城県内の津波碑の状況について。

《報告》関東大震災における避難者の動向 ─「震災死亡者調査票」の分析を通して 北原糸子

東京都慰霊堂に保管されている、関東大震災で亡くなった人を記録した「震災死亡者調査表」の分析結果。

《論文》東日本大震災法律相談解析結果から導く行政機関の新業務継続計画(新行政BCP) 岡本正

日本弁護士連合会が取りまとめた「東日本大震災法律相談分析結果」をもとに、被災地域別や時間経過による相談内容の傾向を調べたうえで、行政機関がBCP(業務継続計画)として取り組むべき項目として情報提供機能の維持を挙げて優先して提供する情報やBCPの実効性確保のための施策などを提案しています。

《報告》東日本大震災における弁護士の被災者支援の軌跡 永井幸寿・津久井進

東日本大震災の発生を受けて行われた法律相談やADR(裁判外紛争処理手続き)、立法提言などの取り組みについて。

《評論》東日本大震災における自治体の独自施策 山崎栄一

東日本大震災の被災者や県外避難者を支援するために行われた地方公共団体独自の施策について。

《研究会報告》災害医療におけるトリアージの法律上の問題点 永井幸寿

災害現場で実施されるトリアージについて、7割以上が適切な判断であれば適正とされるような事情を無視して刑事・民事上の責任を問われる可能性があることや、トリアージが医療行為であって救急隊員や看護師が行うことは医師法違反に当たることを指摘し、免責や実行者の権限を法制化することを提言しています。

《研究会報告》災害医療におけるトリアージをめぐる法的課題の検討 トリアージ研究会

民法の緊急事務管理に関する規定が「よきサマリア人法」に相当する効果を及ぼすなど民事上の責任は問われないと考えられるとしたうえで、医療関係者の負担を軽減し刑事免責も実現するための法整備を提案しています。

《研究会報告》トリアージとは? 吉永和正

トリアージの概念や手法などについての解説。

《論文》バングラデシュ・サイクロン被災地域におけるコミュニティ再建に関する研究 ─ジェンダーに配慮した住民参加によるサイクロンシェルターマネジメントガイドラインの作成過程における考察 斉藤容子・室﨑益輝

2007年(平成19年)と2009年(平成21年)のサイクロンにより被災した地域でのサイクロンシェルター運営の現状とジェンダーに対する配慮を重視した避難所運営のためのワークショップについて。

バングラデシュでは社会的・宗教的背景からシェルターの運営や避難行動でも女性が不利な立場となっています。

《提言》災害ファイナンスの確立に向けて 加藤進弘

二重ローン問題を回避する制度として、被災状況に応じて住宅ローンの残債を補償する「信用地震保険」の創設やBCP策定企業に保証予約を行う「BCP対応災害補償予約制度」の拡充を提案しているほか、雇用・産業復興のために社会投資ファンドなどの民間資金を活用することや保険機能拡充のために再保険キャパシティの安定的確保などが必要と指摘しています。また、国や自治体の債務を財政としてだけでなく金融(パブリック・ファイナンス)ととらえた資金調達も求めました。

2012年7月7日

平成23年度 消防に関する論文・機器の研究作品集

全国消防協会ホームページに、2011年度(平成23年度)「消防機器の改良及び開発並びに消防に関する論文」作品集が掲載されています。

2011年度は137作品の応募があり、優秀作品として論文の部4点と機器の部16点が作品集にまとめられました。

論文の部

無蓋防火水槽の凍結防止対策「凍結防止袋」の作成について
10cm以上の厚い氷が張る無蓋防火水槽に、塩化カルシウム水溶液を入れた袋を浮かべて吸管の投入に必要な開口部を確保する方法。
二重巻きと島田折りを組み合わせた「四重折りホースシステム」について
幅の狭い通路や階段での延長に向いたホース巻き。
緊急走行の実写動画を活用した運転技術教育資料の作成
実際の緊急走行時に撮影した映像を使い、危険予測や運転技術向上のための教育資料を作成した。
義務化後における住宅用火災警報器の設置指導に関する考察 ―壁設置の強調による未設置世帯の解消―
住警器未設置の理由として「取付が面倒」との回答が多いことに着目し、効率の良い指導を行うため壁設置を推奨することなどを提言。

機器の部

硫化水素除去装置を改良した塩素ガス除去用カートリッジの開発について
硫化水素除去装置のフィルターとしてカーライム(酸素呼吸器で二酸化炭素除去剤として使われる)を使用することで安全に塩素ガスの除去を行うことが可能。
多目的安全シートの考案“Safety Rescueを追及して”
ケブラー繊維製の布に粘着性のあるウレタンゴムを張り付けた、ガラス飛散防止や鋭利部保護、電気絶縁など多目的に利用可能なシートを考案。
「エアー注入式フローティング搬送器具」の開発について
水難救助事案で要救助者の水面搬送を容易に行うことが可能な搬送器具を開発。
AEDの表示ランプの改良について ~全ての人にとって、より使いやすいAEDへ向けて~
AED(自動体外式除細動器)に、ガイダンスメッセージだけでなく除細動が不要であることなどをランプで表示することを提案。
「消防活動補助器具」の考案について
廃ホースを利用した、傷病者搬送や資機材携行時の労力低減・安全確保やホースの脱落・破損防止などに活用可能な補助器具を製作。
バスケットストレッチャー血液汚染防止シートの考案について
バスケットストレッチャーの血液汚染を防ぎ、感染防止や洗浄・消毒を容易にするほか、精神的負担の軽減などを図るために血液汚染防止シートを考案。
狭所ホース(設定・搬送)バックの考案
狭所ホースの設定や搬送を簡便に行うためのバックを試作。
低反動型ガンタイプノズルの考案について
従来の管そうよりも高い位置で保持するガンタイプノズルを、欧米人より小柄で従来の管そうの保持姿勢に慣れた日本の消防隊員向けに改良。
天ぷら油火災を一動作で消火する器具「消火シールド」の開発について
防虫用の食卓カバーを参考に、折りたたんだ状態から簡単に開くことができ容易に初期消火が可能な器具を開発。
ガンタイプノズルの安全性・利便性を向上させる改良について ~放水形状・放水量の調整部分にグリップ等を付加~
ガンタイプノズルの放水形状や放水量を設定するリングにグリップとポイント(突起)を付け、目視せずに確実な操作を可能とする。
地中ばり水槽活用時の充水限度表示機器「回転フロート」の開発について
建築物の基礎ばりを利用する地中ばり水槽の適性な充水を容易に確認可能な表示機器を開発。
水中スクーターの使用方法の改良について
水中スクーター2台とフロート担架などを組み合わせ、水面に浮かんでいる要救助者を迅速に救助する方法の提案。
資器材収納付のスニッフィングポジション枕の開発
気管挿管に適した頭位を容易に確保可能で、挿管に必要な資器材を内部に収納できる枕を開発。
多種多様な災害に対応するノズルの考案について
洗顔や手洗い、防火衣の洗浄のほか、小規模火災の消火などにも活用可能なノズルを考案。
一つの資器材で要救助者のプライバシー保護と水損防止を兼ね備えた新シートの考案について
ブルーシートと生活雑貨の突っ張り棒を組み合わせることでプライバシー保護や水損防止を容易に行うことができるシートを考案。
トリアージタッグ回収箱の開発について
トリアージタッグの回収や整理を効率化するための回収箱を開発。

関連リンク

2012年7月5日

聴覚障害者対応型住警器普及支援事業 周知強化を

総務省消防庁は、2012年(平成24年)2月から受付を開始した「聴覚障がい者対応型住宅用火災警報器普及支援事業」の申請が想定の半数程度にとどまっているとして、支援対象者への周知と申請支援の強化を求める通知を発出しました。

支援事業は予算上約4,000世帯への住警器設置を想定していましたが、2012年6月20日時点の申請件数は約2,000世帯にとどまっているとのことです。通知では、申請状況にあわせてダイレクトメールの再送付や戸別訪問などにより周知、申請支援の強化を図ることなどを求めています。

関連リンク

『週間情報』平成24年7月3日 No.2424

両会の動き

第64回全国消防長会総会決議等に基づく要望の実施 全国消防長会

2012年(平成24年)6月21日の全国消防長会総会で決定された総会決議に基づく要望と、2013年度(平成25年度)の国の予算概算要求に関する要望を川端達夫総務大臣に、リチウムイオン電池を用いた蓄電池設備の技術上の基準の整備と消防大学校の教育体制の更なる充実についての要望を久保信保消防庁長官に行いました。

概算要求に関する要望では、緊急消防援助隊登録車両の充実や更新を図るための予算確保、消防組織法に基づく無償使用制度の対象を消防ポンプ自動車や救急自動車に拡大することを求めたほか、緊急消防援助隊の訓練にかかる費用についても、実際の活動時に使われる活動費負担金と同様に全額国費負担とするよう要望しました。

リチウムイオン電池を用いた蓄電池設備については、対象火気設備として規制の対象となっているものの、昭和30年代に実用化された鉛蓄電池を想定した規定のままとなっているとして、蓄電池設備の潜在的リスクをより適正に評価できるよう規制単位をアンペアアワー・セルからkWhとするなどの対応を求めています。

消防本部の動き

災害記録「台風12号災害の教訓」の発行 中吉野広域消防組合消防本部(奈良県)

2011年(平成23年)の台風12号による被害についてまとめた『台風12号災害の教訓』を作成しました。希望者に配布するほか、ホームページにも掲載しています。

「愛知県防災ヘリコプターと夜間合同訓練を実施」 豊橋市消防本部(愛知県)

夜間に防災ヘリコプターが安全な離着陸を行えるよう、夜間照明設備の設営や誘導などを行う夜間合同訓練を実施しました。

「派遣型救急ワークステーション」運用開始 松山市消防局(愛媛県)

四国では初めてとなる、救急車と救急隊員を病院に派遣する「派遣型救急ワークステーション」の運用を2012年6月1日に開始しました。

平日の午前9時から午後5時まで救急車1台と救急隊員3名を愛媛県立中央病院に派遣して救急隊員に対する病院実習を行うほか、重症傷病者や集団救急事故などが発生した場合には医師が救急車に同乗して現場に向かいます。

新庁舎の竣工 鈴鹿市消防本部(三重県)

消防本部・中央消防署新庁舎の竣工式が開催されました。庁舎棟は免震構造を採用したほか、浸水を防ぐため土盛りにより地盤面を50cmかさ上げしています。

危険物安全研修会の開催 枚方寝屋川消防組合消防本部(大阪府)

地下貯蔵タンクなどからの流出事故が増えているため、直接埋設された鋼製一重殻の地下貯蔵タンクを有する事業所を対象とした研修会を実施しました。

2012危険物防災講習会 千葉市消防局(千葉県)

危険物安全週間の一環として、仙台市消防局から講師を招いて地震時の危険物施設の安全確保や発災直後の対応についての特別講演を行いました。

防災講演研修会を開催 廿日市市消防本部(広島県)

廿日市市危険物安全協会との共催で、危険物漏洩対策についての講演研修会を開催しました。

住所・電話番号等の変更について
土佐清水市消防本部(高知県)

移転に伴い、2012年6月15日付けで住所と電話・FAX番号が変更となっています。

メールアドレスの変更について
上市町消防本部(富山県)

2012年6月12日付けでメールアドレスが変更となっています。

国等の動き

音声以外の緊急通報受信時の再確認について 総務省消防庁

FAXによる緊急通報を即時に覚知できなかった事案が発生したことから、短時間に119番通報が集中するなどした場合でも音声以外の通報への確実な対応ができる体制を確保することや、確実に受信を把握できるような着信表示、鳴動機能の整備などを求める通知が発出されました。

消防法の一部を改正する法律の公布 総務省消防庁

複合ビルなどの防火・防災対策を強化するための統括防火・防災管理者制度の創設や、消防用機器等の検定制度の見直しなどが盛り込まれた消防法の一部を改正する法律が2012年6月27日に公布されました。

施行は2013年(平成25年)4月1日で、統括防火・防災管理者制度については2014年(平成26年)4月1日となっています。

平成24年度「救急業務のあり方に関する検討会」の発足 総務省消防庁

救急業務の高度化や救急出場件数を増大させる要因の分析、職員教育のあり方などについて研究・検討するため、「救急業務のあり方に関する検討会」を発足させました。

「平成24年度消防・救助技術の高度化等検討会」の発足 総務省消防庁

NBC災害への対応力向上や救助活動の迅速化、効率化を図るため、「消防・救助技術の高度化等検討会」を発足させました。検討会では現行のNBC災害対応マニュアルの見直しを行うほか、災害態様別の標準的な部隊編成などについけも検討します。

「第21回全国救急隊員シンポジウム」発表演題の募集 救急振興財団

2013年(平成25年)1月に岡山市で開催される「全国救急隊員シンポジウム」発表演題を募集しています。

投稿原稿募集 日本消防設備安全センター

機関誌「月刊フェスク」では、消防防災に関する調査・研究成果の投稿を募集しています。

2012年7月4日

『消防の動き』平成24年7月 No.495

巻頭言 大震災を乗り越えて

2012年(平成24年)4月1日付けで着任した長谷川彰一消防庁次長のこれまでの経験や、自助、共助の必要性について。

特報1 ホテル火災を踏まえた今後の対応方針について

2012年5月に広島県福山市で発生したホテル火災を受けて、「ホテル火災対策検討部会」を発足させて火災被害の拡大対策や予防行政の実効性向上について検討します。

検討部会は4~5回程度開催し、年内に報告書を取りまとめる予定です。

特報2 国民保護に係る国と地方公共団体による共同訓練の実施について

2012年度(平成24年度)の国民保護共同訓練は、実動訓練を6県、図上訓練を5件で行います。実施日や訓練内容などは検討中ですが、滋賀県で実施する実動訓練では、実際の鉄道車両を使った訓練が初めて行われる予定です。

特報3 全国瞬時警報システム(J-ALERT)の全国一斉自動放送等試験の実施について

2012年9月12日に、J-ALERT受信機を運用するすべての地方公共団体を対象とした自動放送等試験を行います。

これまで、全地方公共団体を対象とした試験として受信機までの導通試験を毎月1回実施しているほか、任意の団体が参加する緊急地震速報訓練を年2回行ってきましたが、北朝鮮によるミサイル発射事案への準備として実施した試験で放送が行われないなどの事例があったことから、全国で一斉に自動放送等試験を行うことで情報伝達体制の点検、改善を図ります。

特報4 危険物の規制に関する政令を一部改正する政令等について

危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令などが2012年5月23日に公布されました。

危険物施設以外の建築物へのリチウムイオン蓄電池設備設置を可能とする特例基準と、セルフ方式の給油取扱所(セルフスタンド)への圧縮水素充てん設備の併設を可能とする技術基準については公布日に施行、危険物施設の予防規程で津波対策について定めることを義務付ける改正については2012年12月1日に施行されます。

Report

平成23年中の危険物に係る事故の概要

2011年(平成23年)中に危険物施設で発生した事故は585件で、前年から49件増加しました。平成に入ってから最も事故の少なかった1994年(平成6年)との比較では、危険物施設数は約8割に減っているにもかかわらず事故件数は2倍以上となっています。

事故原因は操作確認や維持管理が不十分であったり、腐食などの劣化によるものが多くなっています。

TOPICS

「消防防災科学技術高度化推進検討会」の発足

高齢化や人口減少など社会構造の変化や国際情勢の動向、大規模、複雑多様化する自然災害などを踏まえた「消防防災科学技術高度化戦略プラン」の改定について検討会を設置して検討を行っています。

2012年7月中に検討結果を取りまとめて戦略プランを改定する予定です。

平成24年春の消防関係叙勲並びに褒章伝達式

第18回危険業務従事者叙勲と平成24年春の消防関係叙勲、平成24年春の褒章伝達式が開催されました。受賞者数は春の叙勲614名、危険業務従事者叙勲620名、春の褒章87名となっています。

緊急消防援助隊情報

消防庁ヘリコプター3号機を埼玉県防災航空隊に配備 ~初の高出力機種の導入~

総務省消防庁ヘリコプター3号機を、消防組織法の無償使用制度により埼玉県防災航空隊に配備しました。

配備されたのは、消防防災ヘリコプターとしては全国初の導入となるアグスタウェストランド社製AW139です。埼玉県防災航空隊がこれまで運用してきたユーロコプター社製AS365N3よりも高出力のエンジンと自動操縦装置を装備しているため、安定したホバリングが可能で山岳救助にも適した機種となっています。

埼玉県防災航空隊には、消防庁ヘリコプターと同時に県が購入したAW139が配備され、AS365Nと合わせて3機体制で常時2機の運行が可能となりました。

消防通信 ~北から南から~ 栃木県 小山市消防本部

小山市消防本部では、2013年(平成25年)9月の開庁を目指して新しい消防本部庁舎の建設を進めているほか、2012年度からは「未来の消防防災リーダー養成事業」の一環として市内の中学生、高校生を対象とした「小山市中高校生消防サポーターズクラブ」を創設しました。

消防通信 ~望楼~

「幼年消防クラブ大会開催!」 大阪府 豊中市消防本部

1992年(平成4年)から毎年開催している「幼年消防クラブ大会」を消防本部と北・南消防署合同で開催し、市内幼稚園の園児751人が参加しました。

幼年消防クラブ結成式 大阪府 熊取町消防本部

新たに開園した認可保育所に幼年消防クラブが結成されました。

防火クラブ・自主防災組織会長会議開催 島根県 雲南消防本部

雲南消防委員会と日本防火協会の共催で防火クラブ・自主防災組織会長会議を開催しました。

給油取扱所定期点検研修会を開催! 広島県 三原市消防本部

ガソリンスタンドに勤務する危険物取扱者を対象とした定期点検の研修会を開催しました。

消防大学校だより

新任消防長・学校長科(第12・13期)

一般行政職から消防長、消防学校長に任命された職員を対象とした新任消防長・学校長科について掲載されています。

緊急消防援助隊教育科 航空隊長コース(第9回)

消防防災航空隊の隊長、副隊長を対象とした緊急消防援助隊教育科 航空隊長コースの模様が掲載されています。

広報資料(8月分)

9月1日は防災の日 防災訓練に参加しましょう ~災害に備え、防災知識の向上を目指す~

国や地方公共団体では、9月1日の防災の日や8月30日から9月5日までの防災週間を中心に防災訓練を実施します。

外出先での地震への対処

外出先で地震があった時の対応について、住宅地、オフィス街・繁華街、海岸・川べり、山・丘陵地、自動車の運転中にわけて特に気を付けるべき内容がまとめられています。

危険物施設等における事故防止について

2011年中の危険物施設における事故の概要と「平成24年危険物事故防止アクションプラン」について。

INFORMATION

5月の主な通知