2010年(平成22年)4月に大阪市で発生したAED(自動体外式除細動器)の不作動が、メーカーによる改修作業時にトランジスタの取り付け部分を損傷したことが原因とみられるとする報告書がとりまとめられました。
不作動を起こしたAEDは日本光電工業(東京都新宿区)製のTEC-2313で、大阪市消防局の救急隊が心肺停止状態の傷病者に使用し、消防署に帰署した後で報告書作成のためAEDの記録を確認したところ除細動が行われていなかったことがわかったものです。
報告書では、AED内部の高圧ユニットに使われているトランジスタが脱落していたために放電ボタンを押しても除細動が行われなかったとした上で、2007年(平成19年)に小児対応のためにバージョンアップを行った際にトランジスタの取り付け部分に力がかかって傷がつき、時間とともに劣化して脱落した可能性が高いとしました。また、脱落したのとは別のトランジスタの故障もAEDに記録されていたものの、2009年(平成21年)9月にメーカーが行った定期点検時に見落とされていたこともわかりました。メーカーでは、この故障が発見されていれば高圧ユニットの交換を行っていたとしており、結果的にAEDの不作動を防ぐことができなかったことになります。
今後の対策としては、不作動を起こしたAEDには機器の故障で除細動ができなかった場合にAED内部で放電を行い、アラーム音とモニター画面の表示で知らせる機能があったものの一刻を争う救急活動時には認識することが難しいものだったとして、明確な音声メッセージによって異常を知らせる機能の搭載を提言したほか、確実に除細動が行われたことを確認するプロトコールや、機種ごとに具体的な点検要領をつくり毎日充放電テストを行う必要があるなどとしました。
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