巻頭言 石油コンビナート等の防災対策の方向性
1994年(平成6年)から増加傾向が続き、2012年(平成24年)には248件と過去最高を記録した石油コンビナート等の事故件数や、南海トラフ地震、首都直下地震などの発生が懸念される災害に対応するための防災対策について。
法令解説
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(消防庁関係法律)について(概要)
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第3次一括法)制定の経緯と、第3次一括法による消防組織法、消防法改正の概要について。
最近の行政の動き
「東日本大震災を踏まえた仮貯蔵・仮取扱い等の安全確保に係る検討会」報告書の概要について
東日本大震災の発生に伴い、消防法第10条但し書きの規定による危険物の仮貯蔵・仮取扱いが多く行われたことを受けて設置された検討会が取りまとめた報告書について。
報告書では、可燃性蒸気の滞留を防ぐことやガソリンなどを取り扱う場合の静電気対策のほか、電話等で申請を行うことや10日間を超えて仮貯蔵・仮取扱いを行うための繰り返し承認など、震災時に想定される手続きについて事前に定めておくことが必要などとしています。
危険物事故関連情報
平成24年中の危険物に係る事故の概要
平成24年中の危険物事故は763件で、そのうち危険物施設での火災、流出事故の件数は573件でした。流出事故は腐食や疲労等の経年劣化によるものが増加傾向で、火災事故は維持管理や操作の不手際といった人的要因によるものが多いものの、物的要因によるものも増えてきています。
総務省消防庁や業界団体などで作る「危険物等事故防止対策情報連絡会」では、「危険物事故防止アクションプラン」を策定して事故防止対策を推進しています。
- 平成24年中の危険物に係る事故の概要 [PDF](総務省消防庁)
- 平成25年度危険物事故防止アクションプランの取組について(平成25年3月27日付け消防危第47号) [PDF](総務省消防庁)
平成24年中の石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所において発生した事故の概要
平成24年中に石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所で発生した事故は248件でした。事故要因は維持管理不十分など人的要因が約4割、腐食等劣化といった物的要因によるものが5割以上となっています。
また、事故の発見から消防機関への通報に30分以上かかった事故が約3割あるなど、通報の遅れも依然として目立ちます。
- 平成24年中の石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所において発生した事故の概要 [PDF](総務省消防庁)
- 石油コンビナート等の大規模な災害時に係る防災対策の充実強化等について(通知)(平成25年3月28日付け消防特第47号) [PDF](総務省消防庁)
論文紹介 ―危険物事故防止対策論文紹介―
石油コンビナート等特別防災区域内における「未来の重大事故」を無くすための提言について
危険物事故対策の原点『うっかりミス』撲滅への挑戦
―若年層研究員が主役の“守り”から“攻め”への事故防止実践型・反復習得型訓練による安全ポテンシャル値の向上―
技術情報
JIS B 8501「鋼製石油貯槽の構造(全溶接製)」の改定動向
屋外貯蔵タンクなど「鋼製石油貯槽」の構造に関するJIS規格の改定について。
関係するJIS規格や法令の改正などを盛り込んだ改定作業が行われています。2005年(平成17年)と2011年(平成23年)に改正された危険物の規制に関する政令などを踏まえ、浮き屋根や浮き蓋を備えた特定屋外貯蔵タンクについて、やや長周期地震動(数秒から20秒程度の周期の揺れ)などによる揺れや衝撃に耐える構造とすることも改定内容に含まれる予定です。
規格の改定原案は、2013年(平成25年)秋の開催が予定されている日本工業規格調査会での審議に向けて手続きが進められています。
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について(平成17年1月14日付け消防危第14号) [PDF](総務省消防庁)
- 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の公布について(通知)(平成23年12月21日付け消防危第295号) [PDF](総務省消防庁)
- 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(案)等に対する意見募集の結果及び政令等の公布 [PDF](総務省消防庁)
- 「内部浮き蓋付き屋外貯蔵タンクの安全対策に関する検討報告書」の公表 [PDF](総務省消防庁)
60mを超えるアルミドームの設計と施工
アルミ合金製の屋根構造物「ウルトラドーム(Ultradome)」をタンク内径65.9mの既設浮き屋根式タンクへ設置した事例の紹介。
ウルトラドームは米ウルトラフロート(Ultraflote)社が開発したアルミ合金の骨組材とパネルを組み合わせた半球形構造物で、日本国内では上水道タンクなど向けとして多くの施工実績があるほか、危険物保安技術協会による性能評価を受けて直径120mまでの浮き屋根式タンク用屋根構造物として適用が可能となっています。
また、鋼製屋根より軽量なため補強が不要となることや、浮き屋根上で組立作業を行うことができ短工期での施工が可能、耐食性に優れているなど設置や維持のコストを抑えることができるとのことです。
- 浮き屋根はそのままに、鋼製タンクにウルトラドームを設置 ―我が国で初めて浮き屋根式タンクにウルトラドームを適用―(三井住友建設)
- アルミ合金製屋根(ウルトラドーム)が危険物保安技術協会の性能評価を取得 ―直径120mまでの浮き屋根式タンク用屋根への適用が可能に―(三井住友建設)
ハニカム型浮き蓋の特徴と耐震強度について
新興プランテックが販売する、米Allentech社製のアルミ製インナーフロート「SPC-HC」について。
SPC-HCは、固定屋根式タンクの内部にアルミ製のデッキプレートを設置するもので、貯蔵液の上にインナーフロートが浮くことで蒸発損失を大きく減らすことができるほか、ハニカム構造の核をアルミプレートでサンドイッチにしたパネルを組み合わせるためデッキプレート全体が浮力を持ち、パネルの一部が損傷してもデッキプレート全体が沈没、崩壊する危険性が低いといった特徴があると紹介されています。
業務報告
SF二重殻タンクにかかる土圧等の影響に関する調査検討報告
鋼製強化プラスチック二重殻タンク(SF二重殻タンク)のFRP外殻鏡部に生じる割れの解析結果について。
コンクリート枕工法の場合、鏡部の円周上に沿ってところどころに発生する曲げモーメントが要因となっていることが考えられるとし、直置き工法では鏡部の下部に応力が集中するために割れが発生するのではないかとしています。対策としては、応力が緩和されるようゴムマットを敷くことなどが提案されています。
平成24年度KHK審査タンクの補修概要
危険物保安技術協会が実施した、特定屋外貯蔵タンクを対象とした検査に対する審査の際に聞き取りを行った補修工事について取りまとめられています。
危険物関係の用語解説(第25回) 防油堤目地部補強材
屋外貯蔵タンクの周囲に設けられる防油堤に必要となる伸縮目地と、伸縮目地に隙間ができた場合の危険物漏洩を防ぐための目地部補強材について。
安心・安全のヒント! めざせ自主保安の達人
事故防止のためには、日ごろから「Know Why(なぜそうなるのか)」を意識すること。
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