総務省消防庁の「予防行政の在り方に関する検討会」が、雑居ビルなどの複合ビル全体の防火管理や防災管理を統括する「防火管理統括者」「防災管理統括者」(いずれも仮称)の選任義務付けや消防用機器検定制度の見直しなどを盛り込んだ報告書を取りまとめました。
管理権原者が複数となる構想・大規模建築物については、1968年(昭和43年)に共同防火管理制度が導入されていますが、この制度による「統括防火管理者」の役割などが明確でないことや共用部分の防火管理主体があいまいであることが課題となっています。このため、共同防火管理制度を拡充して防火管理統括者の選任を義務付け、法令上の権限を明確化することが必要としました。また、防災管理についても同様に防災管理統括者の導入を求めています。消防法令上の管理権原者の扱いについても、複合ビルに入居するテナント単位の対策が確実に行われるよう、原則として複数となることを明確化すべきとしました。
消防用機器の検定・鑑定制度については、第三者機関による検定対象となっている品目のうち主に消防機関が使用する「消防用ホース」と「差込式又はねじ式の結合金具」、需要が減っている「漏電火災警報器」を、メーカー自身が規格に適合することを確認する自主表示に移行させるほか、法令で規格が定められている一方で販売規制のない器具を対象とする鑑定業務は廃止すべきとしました。リコール命令などの事後規制や無表示販売への罰則強化も求めています。
小規模事業所の消防用設備がコストの問題などから適切に維持されていない場合があるとして、メンテナンスフリー化を推進する必要を指摘したほか、住宅用火災警報器の設置が必要となった一方で旅館や有床診療所などに自動火災報知設備設置が義務付けられていない点についても見直しを求めました。
関連リンク
- 「予防行政のあり方に関する検討会報告書」の公表(平成24年1月20日報道資料) [PDF](総務省消防庁)
- 「予防行政のあり方に関する検討会報告書」の公表(平成22年12月17日報道資料) [PDF](総務省消防庁)
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