2011年6月13日

固定・携帯電話統合位置情報通知システム報告書

総務省消防庁は、固定電話用の「新発信地表示システム」と携帯電話・IP電話用の「位置情報通知システム」の機能を一つにした「統合型位置情報通知システム」の実証実験報告書を取りまとめました。

二つのシステムは119番通報をどこからかけているかを確認するためのもので、システムが別であるために操作が煩雑となったり、新発信地表示システム用のフレームリレーと位置情報通知システム用のIP-VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)を維持しなければならないなどコストの問題がありました。

2009年(平成21年)に統合型位置情報通知システムの運用が始まり、同年度中に7消防本部で行われた実証実験では基本的な機能や性能に問題はないとされました。さらに指令システムとの連動や位置情報検索の輻輳などで負荷が増えたときの処理、長期使用による劣化の有無などを確認するため、2010年度(平成22年度)に75消防本部を加えて実証実験を継続し、導入効果や信頼性を検証しました。

報告書では導入によるメリットとして、統合型位置情報通知システムの導入により新発信地表示システムの運用コストが不要となることや、指令台連動方式となるため保守窓口が一元化される、災害地点特定の時間短縮などを挙げています。また、負荷がかかった状態や長期間の使用による性能の低下がなく、新発信地表示システムとの比較でもレスポンスが大きく下がることはなかったとしました。

一方で、位置情報の照会にかかる時間(ターンアラウンドタイム)の遅延や位置情報の要求に対する応答と検索結果の通知が入れ替わるなどの事象があることや、PHSの位置情報を取得することができない、119番通報の切断後に通知される位置情報が指令システムで表示できない場合があるなどの問題点も指摘しています。また、携帯電話からの通報を管轄外の消防本部が受信した場合に、通話だけでなく位置情報も管轄消防本部に転送できる仕組みについて検討が必要としました。

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