2007年3月1日

消防法施行令、福祉施設防火を強化する改正案/春の全国火災予防運動(ほか10件)

消防法施行令など改正案 福祉施設防火を強化

総務省消防庁は、認知症高齢者グループホームなどの社会福祉施設の防火安全対策を強化するための消防法施行令改正案などを公表、2007年(平成19年)3月29日まで意見を募集しています。

「消防法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見募集について
  1. 対象施設
    • 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム(主として要介護状態にある者を入居させるものに限る。)、介護老人保健施設
    • 救護施設
    • 乳児院
    • 知的障害児施設、盲ろうあ児施設(通所施設を除く。)、肢体不自由児施設(通所施設を除く。)、重症心身障害児施設、障害者支援施設(主として障害の程度が重い者を入所させるものに限る。)
    • 老人短期入所事業又は認知症対応型老人共同生活援助事業(いわゆる認知症高齢者グループホーム)を行う施設
    • 短期入所又は共同生活介護(いわゆる障害者ケアホーム)を行う施設(いずれも主として障害の程度が重い者を入所させるものに限る。)
  2. 防火管理者の選任
    1. 対象施設について、防火管理者を選任し、消防計画の作成などの防火管理業務を行わせることが必要になる収容人員の要件を、30人以上から10人以上に改める(共同防火管理を要する収容人員の要件も同様に改正)。
    2. 対象施設の防火管理者の資格は、甲種防火管理の課程を修了した者等とする。
  3. 消防用設備等の設置
    1. 275m2以上の対象施設にスプリンクラー設備の設置を義務付ける(従来は延べ面積1,000m2以上のものに設置)。
      • ※ 総務省令で定める防火区画を有するものを除く。
      • ※ 延べ面積1,000m2未満の対象施設に設置するスプリンクラー設備(特定施設水道連結型スプリンクラー設備)の技術上の基準を緩和する。
    2. すべての対象施設に自動火災報知設備の設置を義務付ける(従来は延べ面積300m2以上のものに設置)。
    3. すべての対象施設に消防機関へ通報する火災報知設備の設置を義務付ける(従来は延べ面積500m2以上のものに設置)。
    4. すべての対象施設に消火器の設置を義務付ける(従来は延べ面積150m2以上のものに設置)。
    5. すべての対象施設に消防用設備の設置の際の消防機関の検査を義務付ける(従来は延べ面積300m以上のものを検査)。
  4. 施行期日
    • 公布の日から2年後を目途に施行する。
  5. 経過措置
    • 既存の対象施設を対象に、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備等の設置について、施行から3年間(消火器については1年間)の猶予期間を設ける。
「消防法施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見募集について
  1. 防火管理者の資格の特例
    • 管理権原が分かれている防火対象物で対象施設の用途に供される部分の収容人員が10人未満である場合、防火管理者の資格の特例(外部委託等)を適用することができることとする(従来は30人未満のものに適用)。
  2. スプリンクラー設備の設置基準
    1. 対象施設について、スプリンクラー設備の設置を要しない防火区画の要件を定める。
    2. 対象施設の廊下及び収納施設を、スプリンクラーヘッドの設置を要しない部分に追加する。
    3. 対象施設に設置するスプリンクラーヘッドの種類及び放水能力、スプリンクラー設備の水量に関する基準を定める。
    4. 特定施設水道連結型スプリンクラー設備の技術上の基準を緩和する。
  3. 施行期日
    • 公布の日から2年後を目途に施行する。
  4. 経過措置
    • 既存の対象施設を対象に、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備等の設置について、施行から3年間(消火器については1年間)の猶予期間を設ける。
「小規模社会福祉施設に対する消防用設備等の技術上の基準の特例の適用について(案)」に対する意見募集について

次の1から4までに掲げる要件のいずれかに該当する小規模社会福祉施設については、令第12条の規定にかかわらず、スプリンクラー設備の設置を要しないものとすること。

    1. 夜間に自力避難困難者(当該施設に入所している老人(要介護3以上の者に限る。)、乳児、幼児、障害者等(障害程度区分4以上の者に限る。)をいう。以下同じ。)の避難介助のため必要な介助者が確保されている小規模社会福祉施設として、次の(1)から(3)までに掲げる要件のすべてに該当するものであること。
      なお、(2)の要件に該当するか否かを判断するに当たっては、新規のものについては、事業者が作成した事業計画等による入居者の見込み数により判断することとし、事業開始後に自力避難困難者の数が増加したものについては、その状態が継続的なものであることが認められたものについて、改めて(2)の要件に該当するか否かを判断するものとすること。
      1. 当該施設は、平屋建て又は地上2階建てのものであること。
        また、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが不燃材料、準不燃材料又は難燃材料でされているものであること。
      2. 夜間における介助者1人当たりの自力避難困難者の数が、従業者等(夜勤職員、宿直職員、宿直ボランティア、住込みの管理者など当該施設において入所者とともに起居する者をいう。以下同じ。)にあっては4人以内、近隣協力者(当該施設に併設されている施設の職員、当該施設の近隣住民、当該施設と契約している警備会社の職員等で、火災発生時に駆けつけて避難介助を行う者をいう。以下同じ。)にあっては3人以内となるよう、介助者の数が確保されているものであること。
        この場合において、次のア及びイに掲げる要件のすべてに該当する複数ユニットの小規模社会福祉施設にあっては、自力避難困難者の数が最大となるユニットにおいて、これに応じた介助者の数が確保されることで足りるものとすること。
        • ア ユニット間に設けられる壁及び床が耐火構造又は準耐火構造であるものであること。
          また、当該壁又は床に開口部がある場合には、当該開口部に常時閉鎖式又は自動閉鎖式の防火設備が設けられているものであること。
        • イ 各ユニットにおいて、他のユニットを経由することなく地上に至る避難経路を有しているものであること。
      3. 近隣協力者は、次のアからウまでに掲げる要件のすべてに該当するものであること。
        なお、近隣協力者は、一の事業所、世帯等から複数名を確保して差し支えないものであること。
        • ア 居所から当該施設に2分以内で駆けつけることができるものであること。
        • イ 居所には、当該施設の自動火災報知設備と連動して火災の発生を覚知することができる装置が備えられているものであること。
        • ウ 近隣協力者本人の同意がある旨、火災発生時の活動範囲、夜間不在時における代替介助者の確保方策その他の必要な事項について、消防計画又は関連図書により明らかにされているものであること。
    2. 各居室から屋外等に容易に至ることができる小規模社会福祉施設として、次の(1)から(4)までに掲げる要件のすべてに該当するものであること。
      1. 当該施設は、平屋建て又は地上2階建てのものであること。
        また、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが不燃材料、準不燃材料又は難燃材料でされているものであること。
      2. すべての居室において、地上又は一時避難場所への経路が、次のア又はイに掲げる要件のいずれかに該当することにより、構造上確保されているものであること。
        • ア 扉又は掃出し窓を介して、地上又は一時避難場所に直接出ることができるものであること。
        • イ どの居室から出火しても、火災室又は火災室に設けられた開口部に面する部分を通らずに、地上又は一時避難場所に至ることができるものであること。
      3. 一時避難場所の位置及び構造は、外部からの救出を妨げるものでないこと。
      4. 夜間の体制が夜勤者1名となる2ユニットの小規模社会福祉施設にあっては、当該夜勤者のほかに1(3)アからウまでに掲げる要件のすべてに該当する近隣協力者が1人以上確保されているものであること。
    3. 共同住宅の複数の部屋を占有し、その総面積により小規模社会福祉施設に該当するもののうち、次の(1)から(4)までに掲げる要件のすべてに該当するものであること。
      1. 小規模社会福祉施設として用いられている部分の床面積が一区画当たり100m2以下であるものであること。
        また、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが不燃材料、準不燃材料又は難燃材料でされているものであること。
      2. 小規模社会福祉施設として用いられている部分が3階以上の階に存する場合には、当該部分を区画する壁及び床が耐火構造となっており、その開口部に常時閉鎖式又は自動閉鎖式の防火設備が設けられているものであること。
      3. 自力避難困難者の数が一区画当たり4人以下であるものであること。
        また、すべての自力避難困難者が、自動火災報知設備の鳴動や周囲からの呼びかけにより火災を覚知することができ、介助者の誘導に従って自立的に歩行避難できるものであること。
      4. 当該施設において従業者等が確保されているものであること。
    4. 上記1から3までに該当しない小規模社会福祉施設のうち、次により求めた避難所要時間が避難限界時間を超えないものであること。
      1. 避難所要時間は、自力避難困難者が避難行動を開始するまでに要する算定上の時間である「避難開始時間」と、自力避難困難者の移動に要する算定上の時間である「移動時間」の和により算定するものとすること。
        なお、所定の算定方法によることが適当でない場合には、避難訓練において実際に測定した所要時間を用いることができるものとすること。
      2. 避難限界時間は、火災室が盛期火災に至る算定上の時間である「基準時間」と、盛期火災に至った火災室からの煙・熱の影響によって、他の居室や避難経路が危険な状況となるまでの算定上の時間である「延長時間」の和により算定するものとすること。
      3. 各居室がそれぞれ火災室となった場合を想定し、そのすべてにおいて避難所要時間が避難限界時間を超えないものであること。
        また、火災室からの避難については、当該基準時間内に当該区画外へ退出することができるものであること。
    関連リンク

    平成19年春季全国火災予防運動

    3月1日から7日まで、春季全国火災予防運動が行われます。

    (一部を除いて、これまでに紹介した内容の再掲となります)

    総務省消防庁
    林野庁
    仙台市消防局
    さいたま市消防局
    東京消防庁
    横浜市安全管理局
    川崎市消防局
    名古屋市消防局
    京都市消防局
    大阪市消防局
  1. 平成19年春の火災予防運動実施
      神戸市消防局
      北九州市消防局

      きょうのピックアップ

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