2008年11月17日

現場にいなくてもPTSD?

2005年(平成17年)のJR福知山線脱線事故で、負傷者が搬送された病院に勤務していた看護師が、事故による惨事ストレス(Critical Incident Stress)でPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)になったとして、国に労働災害の認定を求める訴訟を起こすとのことです。

看護師は2006年に労災保険の給付を請求しましたが、西宮労働基準監督署が認めなかったため、兵庫労働者災害補償保険審査官に審査請求。審査官も、事故を直接目撃したわけではなく業務は救急医療の現場で一般的な程度であるなどとして給付しない決定をしました。

厚生労働省によると、JR福知山線の事故で医療従事者の労働災害認定をめぐる裁判は初めてとのことです。

現場から逃げた人のほうがPTSDが多い?

事故ではなく戦争について調べたものですが、1990年(平成2年)~1991年の湾岸戦争を経験したイラク人の場合、国内にとどまった人よりも戦火を逃れるため出国した人のほうがPTSD発症率が高いとする研究が発表されています。

2008年(平成20年)11月3日発行の医学誌「New Iraqi Journal of Medicine」に掲載されました。戦争終結から10年後の2001年(平成13年)にアメリカとイラクに住むイラク人男性約1200人を対象に調査を行ったところ、アメリカに逃れた人ではPTSD発症率が高いのに対して、イラクに残った人にはその兆候が見られなかったとのことです。

戦火を逃れたことで、辛い経験を振り返る余裕が生まれることや、ゼロから生活を始めなければならないことが影響しているのではないかと分析、イラクに残った人は、戦争で緊張を強いられることがPTSD発症を抑えている可能性があるとしています。

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