2013年8月8日

救急救命処置 ブドウ糖投与と心肺停止前静脈路確保追加へ

厚生労働省の「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」は、救急救命士の処置範囲に血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液投与、心肺停止前の静脈路確保を加えることが適当とした報告書を取りまとめました。

2012年(平成24年)7月から2013年(平成25年)1月にかけて行われた実証研究に基づいて検討を進めていました。血糖測定とブドウ糖溶液投与については、入院日数や死亡率には影響を与えなかったものの、意識障害の改善や搬送先の選定などに有効であるとし、心肺停止前の静脈路確保についても処置を実施した救急救命士の評価では微弱な脈拍の改善などが認められ、300ml以上の輸液ではショックインデックスも改善されたとして、救急救命士の処置に加えることは適当であるとしました。

重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用については、実証研究で処置の適応を満たした傷病者が少なかったために有効性・安全性の評価ができないとして追加を見送ることになりました。

処置拡大に伴い必要となる救急救命士の教育カリキュラムについて、実証研究では静脈路を確保できなかった例が低血糖症例で39%、ショックと判断された例で65%あり、低血糖を疑い測定を行った例の42%で血糖値が50mg/dl以上だったことや心原性ショックでは輸液による効果が期待できないことなどから、「意識障害をきたす疾患とその鑑別」や「ショックの原因別の分類・鑑別と輸液の効果」などを充実させ、実証研究では実施されなかった「心肺停止前の静脈路確保と輸液の手技」の実習を追加するなどとしています。

また、救急振興財団からの「救急救命士の行う非侵襲的以上ヘモグロビン測定に関する疑義照会」についても議論を行い、一酸化炭素ヘモグロビンを測定可能な点以外はパルスオキシメーターと実質的に構造が変わらないため同様に認めることとしました。一方で、新しい機器が出るたびに検討会で検討を行うのは合理的ではないとして、救急救命士による処置の範囲をどのように構築するかという考え方を整理する必要があるとの指摘もありました。

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