2011年11月1日

自動車運搬船火災の機関長死亡は避難方法不徹底が要因

運輸安全委員会は、2008年(平成20年)10月に発生した自動車運搬船火災の船舶事故調査報告書を公表しました。

この火災により、積んでいた約3,900台の自動車のうちおよそ2,800台が焼損したり汚損するなどしたほか、車両甲板の船体構造材が4層にわたって変形、機関長が二酸化炭素中毒で死亡しました。

報告書では、機関長が退船時のマスターステーション(緊急時に点呼などを行う場所)であるボート甲板への集合の指示に直ちに従わず、機関制御室からの脱出経路として定められた経路を使わずに車両甲板を通ったことのほか、懐中電灯と無線機を持たずに脱出を始めたことなどを指摘したうえで、炭酸ガス消火設備の使用を想定した訓練を行っていなかったことや非常時の避難方法、指示に従うことが徹底されていなかったと考えられるとしました。一方で、炭酸ガス消火設備の使用などにより火災の被害を貨物倉にとどめることができたほか、船内放送を繰り返すことで乗組員に火災の発生と非常呼集が周知されていたとしました。炭酸ガスの放出についても、機関長は放出ゾーン外の機関制御室にいると判断して行ったと考えられるとしています。

火災原因については、積み荷の自動車のエンジンルームから出火したと考えられるとしたものの、出火の要因を明らかにすることはできなかったとしました。

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