2008年(平成20年)6月の岩手・宮城内陸地震で、地すべりなどのために発生した不安定土砂や川がせき止められてダムのようになった河道閉塞などによる土砂災害を防ぐための対策を検討してきた「岩手・宮城内陸地震に係る土砂災害対策技術検討委員会」の検討結果が取りまとめられました。
まとめられた検討結果によると、地震により発生した崩壊や地すべりは約3,500箇所で、およそ1億3,000万㎥の不安定土砂が発生しました。また、河道閉塞も15箇所で確認されています。
河道閉塞については、流路掘削などの工事により決壊の危険は低くなっているものの、大規模な洪水で決壊する可能性は残っているとしました。決壊が起きた場合には、磐井川では約40分で段波が厳美渓に到達、一関市街地などで氾濫する恐れがあります。迫川で段波が温湯温泉付近に到達するまでの時間は10分程度で、温湯下流から花山ダム上流にかけて氾濫の可能性もあるほか、今後の豪雨などで新たな河道閉塞が形成される危険性も指摘しています。
また、豪雨による影響とは別に、中長期的に日常的な土砂流出が続き、河床の上昇で氾濫の危険が高まったり、ダムへの堆砂による貯水容量減少が懸念されるほか、山地の地盤が全体に脆弱化していて、土砂災害のリスクが高くなっているとしています。
対策としては、河道閉塞の決壊を防ぐため、通水路の確保や安定化を行うことや、土砂流出を防止するえん堤の整備などを挙げています。地域の特性などから対策の優先度をⅠからⅢまでのゾーンで分け、市街地や観光地、家屋、主要道路がある地域などを最も優先度の高いゾーンⅠとしました。
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