2012年(平成24年)7月16日発行の『週刊医学界新聞』に、院外心停止患者の脳の状況を予測するための指標として無侵襲脳局所酸素飽和度(rSO2)を利用する研究についての記事が掲載されています。
心筋梗塞などの疾患による院外心停止患者の救命率を上げる方法として、経皮的心肺補助装置(PCPS)を使って脳への血流を確保してから治療を開始することが行われていますが、費用や実施可能な施設の数など問題から、どの患者に対して実施するかを見極めることが課題になっています。
大阪府済生会千里病院心臓血管センターの伊藤賀敏センター長は、患者の額にセンサーパッドを貼り付けるだけで測定可能なrSO2に注目、2009年(平成21年)4月から2010年(平成22年)6月までの92症例についてrSO2の測定を行い、社会復帰できた13例と転帰不良の79例を比較した結果、rSO2が25%未満では社会復帰できた例がなかったのに対して、25%以上40%未満では約2割、40%以上のrSO2が維持されていた症例では半数の患者が社会復帰していたことがわかりました。
脳蘇生を予測する指標としては、血液中の乳酸値や塩基過剰を測定する方法などが知られていますが、精度や血液検査に時間がかかるなどの問題がありました。rSO2は測定が容易で1分程度あれば結果が分かるほか、他の指標と比べて正確だったとのことです。
また、一般市民による心肺蘇生(CPR)が行われていない場合、来院時のrSO2が低く、高度な処置を行っても社会復帰率が2%にとどまっていたとして、一般市民によるCPRが極めて重要と指摘しています。
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