2008年12月16日

救急医療3団体が「救急医療を再構築するための提言」取りまとめ

日本救急医学会と日本臨床救急医学会、日本救急医療財団の3団体は、「救急医療を再構築するための提言」を取りまとめ、厚生労働大臣に提出しました。

提言では、救急医療について廃院や診療科の閉鎖、勤務医不足や過重労働のほか、訴訟リスクのみが高く病院経営上のメリットがまったくないと指摘し、多くの救急患者が「たらい回し」にあっている現状を「救急難民」と呼ぶべき状況であるとした上で、緊急に採るべき方策や救急医療体制を整備するための法的根拠の確保などを求める内容です。

緊急の対応、方策としては、国民に救急医療の危機的状況や適正受診、応急手当の普及などを広く理解してもらうことや救急医療に携わる人材の確保が必要としているほか、患者自身や救急隊、外来の各段階でのトリアージによる絞込みなどを提案しています。

また、「とにかくどこかが引き受ける対策」として、救急患者の受け入れ態勢を確保するための病院ネットワーク構築や医療機関と消防機関の連携、コーディネーター機能の導入、翌朝の転院を前提とした「オーバーナイトプラン」の整備を挙げています。

消防機関が市町村単位となっているため情報の利用や搬送先医療機関の選択が狭い地域に偏りやすく、救急救命士の資質向上や教育の地域間格差が大きいとも指摘、消防機関の広域化が必要としました。

提示した方策を実現し、救急医療の危機的状況を再び繰り返さないための法整備が必要とし、国や自治体、医療機関、国民などの責務を定め、具体的な目標を示した「救急医療基本法」(仮称)の制定を求めています。

(2009/01/15追記:「救急医療を再構築するための提言」の理解のために へのリンクを追加しました)

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