2008年12月16日

平成20年版消防白書を公表

平成20年版(2008年版)の消防白書が公表されました。

白書では、特集として地域総合防災力の強化を取り上げ、消防団や自主防災組織、住宅用火災警報器の普及促進に向けた取組などを紹介、自助、共助の精神に基づく住民の取組や消防との連携の必要性を訴えています。

特に話題性のあるトピックスとしては、大規模災害への備えと消防広域化、消防と医療の連携、中国四川省大地震での国際消防救助隊の活動の4項目が掲載されています。

特集 地域総合防災力の強化 ~消防と住民が連携した活動の重要性~

「地域総合防災力の充実方策に関する小委員会」が取りまとめた報告書の要点を示した上で、地域防災の要となる消防団の充実強化や自主防災組織や婦人防火クラブ、少年防火クラブなどの活動を掲載しています。

また、住宅用火災警報器の普及促進に向けた取組として、町会が行っている古紙回収の収益を活用した無償配布の事例などを紹介しています。

トピックスⅠ 大規模災害に備える

平成19年中の危険物施設における事故が過去最多となったことなどを受けて、火災に至らない危険物流出等の事故に対する原因調査制度が創設されました。

大地震などへの対応を充実させるため、緊急消防援助隊の機動力を強化する法改正が行われたほか、防火対象物の防火管理者や自衛消防組織に対して地震災害に対応することを求める改正消防法が2009年(平成21年)6月1日から施行されます。

トピックスⅡ 市町村の消防の広域化 ~将来の消防本部~

2008年11月1日現在、38の都道府県が広域化推進計画を策定しています。消防本部の数は673本部から184本部に減少、管轄人口が10万人未満の小規模本部は414本部から34本部となり、9割を超える大幅減が見込まれています。

基本指針で目標とされている管轄人口30万人以上の本部は63本部から87本部に増加、およそ半分の消防本部が管轄人口30万人以上となります。

管轄人口100万人以上の消防本部は31本部、区域内人口は約5900万人となり、政令指定都市規模の消防本部の管内で6割近い住民が暮らすことになります。

トピックスⅢ 消防と医療の連携の推進 ~迅速な救急搬送を確保するために~

救急出場件数は1997年(平成9年)からの10年間で約52%も増え、約529万件に達している一方、救急隊数は1998年(平成10年)からの10年間に約8%の増加にとどまっています。現場到着時間の平均は1997年の6.1分から2007年(平成19年)は7.0分に伸び、現場到着から病院収容までの時間も19.9分(1997年)から26.4分(2007年)で、遅延する傾向となっています。

また、重症以上の傷病者の搬送事案などを対象に行った受入れ実態調査では、大都市周辺部など一定の地域に選定困難事案が集中する傾向があることがわかっています。

「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」の中間報告では、救急搬送や受入医療体制の検証、協議の場として都道府県や地域のメディカルコントロール協議会の活用を提案しています。

そのほか、東京消防庁の救急相談センターを紹介、医学的判断に基づいた救急相談が有効であるとしています。

トピックスⅣ 中国四川省大地震災害における国際消防救助隊の活動について

2008年5月に発生した中国四川省大地震で派遣された国際消防救助隊の活動について紹介しています。

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