『日本救急医学会雑誌』に、消防防災ヘリコプターの救急ヘリとしての能力を検討した論文が掲載されました。
全国の消防防災航空隊53隊にアンケート調査を行い、医師同乗施設の固定化などの「救急業務上の周辺環境」と、同乗形態や要請手順などの「出動前後の機動性」をドクターヘリ運用を基準とする形で点数化して評価しました。
周辺環境については、医師の同乗施設が固定化できているとした航空隊は14隊(26%)にとどまっているほか、搭乗する医師や看護師への安全教育を徹底して行っていると回答したのは8隊(15%)であるなど、医師のピックアップ体制自体が常態化していないと分析しました。
機動性の評価では、口頭による即応体制をとる機関が2008年(平成20年)の6隊から9隊に増加しているものの、航空隊基地に医師や看護師が常駐している機関がないことや出動範囲を基地から50km以上との回答が33隊に上っているなど、消防防災ヘリが遠方からの傷病者搬送に重点を置いている現状を指摘ししました。また、救急専用の資器材を搭載して待機している機関の少なさや消火やホイスト装備などのため小型機の導入が進んでいないことなどに、救急を重視した配備の困難さがあらわれているとしています。
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