常滑市消防本部の救急救命士が2011年(平成23年)2月、救急救命士法で認められていない非CPA患者に対する静脈路確保を行った事案について、愛知県の設置した「常滑市救急隊活動中に発生した救急事案に関する検証会」が報告書を取りまとめ公表しました。
報告書では、傷病者が1,500~2,000cc程度出血しているとした救急救命士の観察・判断について、静脈路確保後の輸液量などから見て的確ではなかったとしたうえで、適正な観察・判断を行っていればロードアンドゴーとすべき事案だったと指摘しました。また、救急救命士から報告を受けた医師が輸液可能と誤認したことについて、医師が法令やプロトコールを十分に理解していない状況でメディカルコントロールが機能しておらず早急な対応が必要とした一方、救急専門医が不足している現状では医師が詳細な理解をすることは困難として、救急救命士側から適切な報告と認められた範囲内での指示要請を行うよう求めています。
他の救急隊員が行動を制止できなかったことについては、救急救命士が単独で一連の活動を行い、他の隊員に状況を伝達できていなかったことや、救急救命士が救急隊長の立場だったこと、救急隊が通常チームではない即席の混成チームだったことが要因と指摘し、現場活動時の情報共有の徹底や同一チームの枠内にとどまらないトレーニングや意見交換などを行うことで意思疎通を図れるようにする必要があるとしました。また、救急救命士が数か月前の交通死亡事故の経験から葛藤やプレッシャーを感じていた可能性も挙げ、救急救命士や救急隊員のメンタルケアを消防本部全体で行う取り組みが必要としています。
事案発生後の検証体制についても問題を指摘し、県が初期の段階から詳細な報告を求めすぎたことや、東日本大震災の影響で検証が遅れて詳細な事実確認が困難になったことを強く批判、発生後1週間以内には検証会設置の判断を含めて対応できる初動体制を求めました。
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