2011年11月2日

東日本大震災水道施設被害等現地調査団報告書を公表

厚生労働省は、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県、岩手県、福島県の水道事業体の現地調査結果などを報告書として取りまとめました。

報告書では、東日本大震災の概要や全般的な被害状況、水道事業体の被害、対応状況がまとめられています。地震による直接的な被害としては、1997年(平成9年)以前の耐震設計指針で設計された送水管路で漏水が発生したことから、耐震性の高い管種・継手を使用したり、基幹管路のループ化・二重化によるバックアップが重要と指摘したほか、水源から給水装置にいたる水道システム全体としての機能を維持するための耐震化対策が重要とした「水道の耐震化計画等策定指針」(2008年3月、厚生労働省)を示して、管路施設の更新整備時に適切な耐震性能を持たせることを求めています。

震災直後の初動体制や応急給水については、固定電話や携帯電話がほとんど使用できない状況となったことのほか、停電によりテレメータ監視が不能となった場合に迅速な状況確認を行うため適正な人員配置が必要との意見、断水への苦情対応で復旧活動に支障が生じた、資材の調達や搬入に時間を要した、メーカーの被災で薬品の入手が困難となったなどの指摘がありました。日本水道協会の地方支部、県支部の階層に沿った応援方式が機能せず、枠組外の応援給水の調整に混乱をきたすこともあったほか、給水車を現地へ案内する人的余裕がない場合が多いことを指摘し、応急給水のあり方の見直しや地図情報の整理、派遣される給水車へのカーナビゲーション搭載などが必要としています。

応急復旧には被害のなかった施設を活用することが求められ、耐震化や日常的な維持管理が被害の軽減や漏水箇所の早期発見に有効であることを示したほか、住民への復旧見込みなどの情報提供や漏水が疑われる個所の情報収集の必要性、資機材の備蓄、後方支援体制充実の必要性も指摘しています。津波被害地区の応急復旧では、津波の影響による水質悪化で水源井戸が使用できなくなったり、瓦礫が多く配水管のバルブや給水管の止水栓を探すために時間と労力を要するなどの課題が明らかになりました。

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