2011年10月6日

農漁業と集落の復興事例を分析 農林水産政策研究所

農林水産政策研究所は、雲仙普賢岳の噴火や新潟県中越地震などの復興事例を分析し、東日本大震災からの復興に向けた課題を取りまとめました。

三宅島雄山の噴火で島外避難を余儀なくされた三宅村や新潟県中越地震で被災した旧山古志村では3割前後の大幅な人口減少に直面、北海道南西沖地震により大きな被害を受けた奥尻島と三宅島は就業の場が十分でなかったことから高齢化が進行したと指摘し、被災住民の動向を把握して人口減少や高齢化への対策も盛り込んだ復興計画を立案する必要があるとしたほか、就労機会の確保、産科・小児医療や教育の充実により若年層の暮らしやすい環境を整備することも重要としています。

農業の復興については、大規模な畑作団地を形成して農地の利用集積も進めた雲仙普賢岳からの復旧事例や生産組織の設立など営農体制の再編を進めた新潟県中越地震後の事例などを紹介したうえで、これらの復興事例では県費や義援金などをもとにした復興基金が活用されたことも寄与していると分析しました。また、被災地以外で行われた大区画圃場整備事業についても検討し、事業実施と合わせて農業の共同化を図ることも有効な方策の一つとしています。

分散避難の長期化や、津波被害後の移転で高台と低地に分かれるなどして地域コミュニティの崩壊や分断につながった例があるとしてコミュニティ維持の取り組みが必要と指摘したほか、津波対策として高台移転を行う場合には再び低地に戻ってしまうことを防ぐ方策も求められるとしています。

過去の災害では農業や漁業の専門家による調査研究の実績が乏しいとして、被災地の多くが農漁村となっている東日本大震災からの復興には農業、漁業分野の専門家が復興に関する研究を行うことも有効と考えられるとしました。

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