2011年10月21日

図書館の復興と支援の特集記事 国立国会図書館月報

『国立国会図書館月報』平成23年10月号に、東日本大震災による図書館の被害や復旧・復興に向けた取り組みを特集した「図書館の復興とその支援 大震災を越えて」が掲載されています。

岩手県では、陸前高田市立図書館と大槌町立図書館、野田村立図書館が津波で壊滅的な被害を受けたほか、図書館職員も自治体職員として生活支援に従事したため図書館業務への支援を受けることができない状況となりました。宮城県では、県立図書館が施設の損壊やおよそ105万点ある資料の大半が棚から落下するなどして約2か月休館したほか、南三陸町立図書館と公民館図書館のある女川町生涯学習センターが津波で全壊、そのほかの公共図書館は多くが津波の被害を免れたものの、地震により休館を余儀なくされました。

震災後、資料の修復や図書、書棚などの寄贈、インターネットを通じた情報提供などの形で支援が行われていますが、支援をする側・される側のコミュニケーションが十分でなく、ミスマッチが生じていることが課題となりました。受け入れ態勢が整わない状況で人的支援の申し出があったり、子供への読み聞かせ活動で不適切な本が選ばれるといった事例があったほか、岩手県では県立図書館が県下の公共図書館に対する支援の情報を把握できなかったとしています。一方で、文部科学省が開設している「子どもの学び支援ポータルサイト」について都道府県教育委員会を通じて周知したところ、支援の要請件数が増えるなどマッチングのための取り組みも一定の成果を上げています。

復興に向けては、中長期的な視点による息の長い取り組みが必要とする意見や要望のほか、東北地方ではもともと図書館の設置率が低いとしたうえで、復興支援にとどまらない図書館サービスの整備に取り組むべきとの指摘もありました。

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