2011年9月15日

「東日本大震災における東京都の対応と教訓」を公表

東京都は、2011年(平成23年)3月11日に起きた東日本大震災による被害や発災から半年間の東京都の対応、得られた教訓などをまとめた「東日本大震災における東京都の対応と教訓」を公表しました。

都内ではほとんどの地域で震度5弱以上の強い揺れに見舞われ、鉄道の運転見合わせや高速道路の通行止めによる帰宅困難者が多数発生しました。都が行ったアンケート調査では、帰宅を開始した理由として「業務や用事が終わったため」「特に理由はない」を挙げた人が多かったほか、「会社や上司、学校などから帰宅指示があったため」との回答も少なくありませんでした。東京都は、これまで行ってきた「帰宅困難者の心得10か条」などによる帰宅困難者の発生抑止ルールをさらに周知する必要があるとしました。また、一部の鉄道の駅や商業ビルで利用者が締め出されるなど、安全確保の点で不適切な対応があったと指摘しています。

都では帰宅困難者を受け入れるため一時待機施設の確保に努めましたが、あらかじめ指定された施設がなかったことや一部の施設への帰宅困難者の集中、都立学校や民間との協定に基づいて徒歩帰宅者を支援する「災害時帰宅支援ステーション」との役割分担が不明確であることによる混乱があったほか、交通渋滞、通信途絶の影響で物資の供給が困難になるなどの問題が発生しました。

多くの帰宅困難者発生や物資の供給困難につながった交通渋滞や鉄道の運転見合わせについても、道路の交通規制や自動車の使用制限を見直す必要があるとしたほか、都心部の鉄道は特に早期の運転再開が求められるとして迅速な復旧対策を講じるよう求めています。

関係機関との連絡や住民への広報などの情報通信についても多くの課題が明らかになりました。災害対策本部を中心とした報道機関への情報提供の一元化がスムーズに行えなかったことや、都や区市町村のホームページがアクセス集中により情報の更新や閲覧ができなくなるなどの問題が起きました。また、帰宅困難者に「電車の運行再開がいつになるか分からなかったため」、「家族と連絡が取れず、安否が気になったため」との回答も多かったことから、交通機関や安否に関する情報提供を充実する必要があるとしています。

東京都では、取りまとめた教訓や専門家、区市町村の意見などを踏まえて2011年11月をめどに「東京都防災対応指針(仮称)」を策定するとのことです。

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