2011年9月24日

津波防災の観点から見た震災復興の課題

国立国会図書館は、立法調査資料『調査と情報 ―ISSUE BRIEF―』第724号「東日本大震災と復興まちづくり ―津波防災の観点から―」で、復興に向けた現状と課題を分析しています。

震災後の国や岩手、宮城、福島の3県によるこれまでの取り組みをまとめたうえで、津波防災の重要な要素として注目されている住宅地の高台移転について課題を整理しました。

現行の制度で、高台移転に活用できるものとしては「防災集団移転促進事業」が挙げられますが、国による補助は経費の4分の3にとどまります。宮城県は、高台移転を検討している12市町59地区(13,900戸)の基盤整備に市町が負担する額は8591億円に達すると試算、平成22年度当初予算の額が合計2148億円にとどまる12市町では財政負担に耐えられないとして補助上限の撤回が求められています。

漁業、水産業に従事する住民が多く、職場となる港から離れたところに住居を移すことへの抵抗感や用地確保の困難さ、急斜面を切り崩して移転先を造成することによる土砂災害危険の増大なども指摘したほか、阪神・淡路大震災の教訓から地域住民のつながりやコミュニティ維持への配慮も欠かせないとしています。

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