2009年6月16日

学校での防災教育、実施率は低く時間も確保できず

小学校や中学校、高校では防災教育の実施率が低く、1年間に確保することが可能な授業時間は3時間以下などとする調査結果がまとめられました。

静岡大学防災総合センターの牛山素行准教授が岩手県立大学と共同で行った研究によるもので、「津波工学研究報告」に掲載されました。岩手県内にある、小中学校の分校と特別支援学校を除くすべての小中高校を対象に調査票を配布し、82%にあたる588校から回答を得ました。

防災教育の実施状況については、岩手県で過去に起きた災害や今後予想される災害についての紹介や学習を実施しているとした学校が3割を超えていたものの、自然災害に関する展示・体験施設の見学や専門家・災害経験者などの講演といった予算措置やまとまった時間を必要とするものは1割に届きませんでした。また、学校側は時間のみを提供すればよいという条件で授業時間中に割り当てることが可能な時間を聞いた設問では34.3%が1時間と回答、2~3時間くらいと合わせると91.6%に達しました。防災教育の重要性についても、非常に高いとやや高いの合計が4割弱で、内容が多岐にわたる学校教育では防災教育が特別な存在ではないことが示唆されるとの見方を示しています。

費用などの負担がないとの条件で実施が可能な防災教育について尋ねた設問では、副読本やパンフレットの配布を可能とした学校は85.2%あり、パンフレットなどを作成して学校まで送付できる体制があれば、ほとんどの学校で対応ができるのではないかとした一方、展示・体験施設の見学は2割程度にとどまっており、施設だけを整備しても多くの学校には活用する意向が乏しいことを示唆しているとしました。

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