環境省の地球環境研究総合推進費で実施された研究プロジェクト「温暖化影響総合予測プロジェクト」の報告書が取りまとめられました。
報告書では、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量が抑えられて一定の濃度で安定する条件2つと、現場のまま排出量が増加し続ける「なりゆき」の3条件で洪水や土砂災害、高潮などのリスクや被害コストを推計しました。
洪水については、温室効果ガス濃度を最も低く抑えた場合でも被害が大幅に増加すると予想され、最大で約1,000km2に達するとしています。なりゆき条件では最大で約1,200km2と予測した一方、2050年頃まではどの条件でもほぼ同じ上昇傾向を示すとのことです。被害コストも2050年ごろの時点で年間およそ5兆円、なりゆき条件では2070年ごろには約8兆7,000億円の損害が発生するとされ、氾濫源に資産が集中する関東地方や近畿地方などでは特に被害が大きくなると分析しました。土砂災害は、温室効果ガスが最も低い条件では発生確率、被害コストともに頭打ちとなる傾向が見られる一方、今世紀後半には2番目に低い条件でも被害が大きく増加すると予測されています。さらに、温暖化による海面上昇や台風の強大化により、どの条件でも高潮による被害は増大するとしました。
熱中症など、高気温での熱ストレスによる死亡リスクについても分析を行い、温室効果ガス濃度を抑えることで被害の増加ペースを押さえることが可能であると予測し、今世紀末には死亡リスクが1990年の約2.1倍、被害コストは約501億円と推計しました。しかし、なりゆき条件では同約3.7倍、約1,192億円と大幅に増加するとしています。
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