2009年6月18日

2009年国際蘇生連絡協議会の概要

週刊医学会新聞に、2009年(平成21年)3月に大阪で開催されたILCOR(International Liaison Committee On Resusctition: 国際蘇生連絡委員会)による国際蘇生連絡協議会についての記事が掲載されています。今回の協議会の開催責任者で、日本蘇生協議会会長の岡田和夫氏が寄稿したものです。

2010年(平成22年)に予定されている、心肺蘇生(CPR)のガイドラインに当たるCoSTR(Consensus on Resusctition Science and Treatment Recommendation)の改訂を控えて、6つの分科会で合計310に上るトピックの討議が行われました。検討項目が増えたことから、費用を抑えるためにインターネットを活用したwebinar(ウェビナー。webとseminarを組み合わせた造語)が導入されました。これには、AHA(American Heart Association: アメリカ心臓協会)の負担する経費が減り、ILCORの独自性が高まる効果もありました。

翌日には、I-ReSS(International Resuscitation Science Symposium: 国際蘇生科学シンポジウム)が開催され、会場は1000人を超える聴衆で満員となりました。CPRへの科学的知見の導入や普及への取り組みが進められたにもかかわらず、救命率の向上につながっていないことへの反省を受けた内容が多く、胸骨圧迫を絶え間なく確実に実施する必要があるとの指摘や、心拍の再開だけでなく意識回復が重要であるとして、救命の連鎖(chain of survival)に低体温療法など、心停止後症候群予防を盛り込んだ5鎖とする提案がありました。また、CPRと並行して人工心肺を導入することがPEA(Pulseless Electrical Activity: 無脈性電気活動)や心静止からの蘇生に有効であるとの発表が日本と台湾から行われました。

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